オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年9月6日レター)
【読者】中小化学品メーカーで研究専門職を勤めています。研究職として24年、これまで順調に素材の開発を担当してきました。
昨年から75歳の母の認知症が進んでしまい、一人っ子で妻子もなく、地元で母をみてくれる人が見つからなかったので、勤務地の東京から故郷の九州に遠距離介護をしていました。ですが、遠距離介護は時間も費用も労力も負担になりますので、母を東京に呼び寄せることにしました。施設はなかなか空きがないことと、母が拒否していることもあり、昼間の勤務中は自宅にヘルパーさんに来てもらい、夜間と週末は私が母をみることにしています。
最近は夜間の介護がたいへんで眠れない日もあり、仕事と両立するのが難しくなってきました。病院につきそう時などで年休を使いきってしまい、会社に介護休業の相談をしたところ、うちではまだ制度が整っていないので、これ以上休業が増えるなら退職してもらうしかないとのこと。私には研究職の仕事があっており、一度退職したとしても、また同じ仕事につけるかどうか、46歳という年齢を考えると、この先の仕事が不安になります。
これから私と同様に介護がのしかかる社員が出てくると思いますので、会社に介護休業制度を整えてもらえるように交渉すべきか、介護離職もやむなしで退職して後に仕事を探すか、気が進みませんが最後の手段として無理やりでも母を施設に入れるか、分かれ道にいて悩んでいます。個人に関わることで恐縮ですが、人生の先輩としてご意見をいただけましたら嬉しいです。
良い施設を探し、定期的に会いに行かれてください
【宮内】ご相談者は46歳の働き盛りで、公私ともに力いっぱい働く時期です。お母様に対する情をお持ちなのは素晴らしいことで、大切にされたらよいと思いますが、もし仮にあなたが介護離職してその後の人生で辛い思いをするとしたら、お母様は決してそれを望まないと思います。
それよりも、専門家が24時間お母様をみる体制が整っているような、出来る限り良い施設を選んであげてはいかがでしょうか。その方が、あなたも思いっきり仕事に打ち込むことができますし、お母様も安心してすごすことができます。可能な限り良い施設を選んであげて、定期的に会いに行かれたらいかがでしょうか。
親というのは、子供の幸せを一番に願うものです。お母様が施設に入ることを拒否されているということで、ご相談者も抵抗があるかもしれませんが、心配することはありません。親は決して本質的に子を恨むようなことはありません。ましてや姥捨て山に持っていくような話ではありません。二人共倒れになる寸前のご様子です。それは何が何でも避けねばなりません。
それよりも、ご自分の人生に公私ともに花を咲かせるために、健康で今の会社でよいお仕事を続けてください。早く決断されることを望みます。