オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年2月22日レター)

【読者】化粧品、美容健康サプリメントなどの企画、開発、製造、販売事業を営んでいます。6年前に資本金5000万円でいまの会社を設立しました。女性の悩みごとを地道にヒヤリングし、悩みにそった商品開発をしています。販売形態はインターネットがほとんどですが、一部の商品は百貨店などでも販売しています。一昨年には台湾、香港、上海の百貨店とも契約し、インターネット、百貨店ともに日本よりも海外での販売数が伸びています。

2017年にバストを保護する夜専用の下着を開発・販売したところ、この下着をつけて眠るとバストの形がよくなるという評判をいただいてヒット商品となり、累計で200万枚を売ることができました。これをわが社のロングセラー商品と位置付けて、ラインナップをそろえ、品数を増やして販売を続けています。これからもお客様の声に耳を傾けて、ニーズに合った良質の商品をつくり続けていきたいと考えています。

しかしながら、そのあとのヒット商品が思うようには生み出せず、悩んでいます。長期的に安定した経営を続けるには、戦略的なヒット商品を出し続けなければなりませんが、このままでは、じり貧になりかねません。どうすればヒット商品を継続してつくり続けることができるでしょうか。ご相談申し上げます。

新規事業に打って出るなら鉄則があります。自社が持つバリューチェーンに乗せ、隣の分野に進出することです

【宮内】「女性の悩み事を地道にヒヤリングし、悩みに沿って商品開発をしている」、「これからもお客様の声に耳を傾けて、ニーズに合った良質の商品を作り続けていく」といった姿勢は素晴らしいことだと思います。6年間で日本のデパートのみならず、海外にも販路を広げられていて、たいした経営手腕をお持ちだと感心いたしました。

一般的に、お客様の声に耳を傾けすぎて、要望を真面目に受け止めてしまうと、開発の費用や手間暇が莫大に膨らんでしまうということが起こりがちです。マーケットリサーチをしたら、そのなかのどこを集中して掘り下げるかという選択眼が大事になってきます。この判断が実に難しい。この方は、そこの判断を系統立てて上手くできているのではないでしょうか。

いつも申し上げていることですが、新規事業を始めるときには、自分が持っているバリューチェーンに乗せて隣の分野へ進出していくというのが一番堅くて、成功率が高いです。知人から聞いたのですが、いまの若い男性は、女性みたいにこぎれいにしたい願望が強いそうです。中には、髭を薄く見せたいからあごにファンデーションを塗る男性までいると。彼は、髭を薄く見せる専用の化粧品がないから、女性向けのファンデーションを塗るわけです。女性マーケットで成功したのですから、次は男性向けの化粧品を開発されてはいかがでしょうか。同じバリューチェーンで有望な潜在マーケットを狙えることになります。男性顧客をターゲットにされると、まさに隣へという堅い商売になります。男性向けの化粧品市場は、これからまだまだ伸びるのではないでしょうか。

もう一点、「新しいトレンドはベイエリア、広くはカリフォルニアから始まる」という言葉をご存じでしょうか。いま、カリフォルニアの“新しい”女性は、お化粧をするのもワインを飲むのもカッコ悪いということで、素顔で過ごし飲みものは水というのが最新トレンドだそうです。日本の女性の間でも、こんなトレンドがもてはやされる日が来るかもしれません。カリフォルニアのトレンドから、次の時代の雰囲気について学べることもありそうです。

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