オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年11月29日レター)

【読者】運輸サービス業で法人営業部長を勤めています。当社では、5年ほど前に創業社長が71歳で退かれ、60代の2代目社長にバトンタッチしました。その時に、創業社長は代表権のある会長になりました。そして、2年後に代表権のない会長となり、さらに2年後には相談役になりました。

しかしながら、2代目の社長が経営の陣頭指揮をとっているにもかかわらず、相談役が時々社内にやってきて、何かと社長の方針に口をはさみます。われわれにまで指示を出すこともあり、2つの異なる指示が社内に分かれてしまって、混乱が起きて困っています。

社長もどうしたものかと悩んでいるようですが、創業者である相談役に、口を出さないようにお願いすることも憚られます。こんな時はどうすればよいでしょうか。よいお知恵がありましたら、宮内さんに助言していただけないでしょうか。

両巨頭の間で意思疎通を図り、指揮命令系統を一本化しなければなりません

【宮内】創業社長が退いた後に経営に口を出すというのは、よく起きることだと思います。ご質問者の会社のケースですと、創業者が社長の座を譲った後も経営が心配で仕方がないのであれば、その考えは現社長だけに伝えるべきでしょう。そうしなければ、創業者がつくった会社の社員を自ら混乱させる原因をつくることになります。

また、現社長は、創業者に対して、「ご助言はきちんと聞きますので、気がつくことがあれば遠慮なく言ってください。その代わり、社内に直接指示を出すのはやめていただけませんか。現場が混乱します」とはっきりと伝えなければなりません。創業者の助言によって新たに気がつくこともあるでしょうし、それによって会社を伸ばすことにつながるかもしれません。ただし、その助言は社長が受け止め、社内には必要に応じて社長から指示を出すべきです。

もし、創業者が大株主であり、よほど現社長の経営手腕に不安があるのなら、社長を交代させることもできるわけです。いずれにしても、創業者と現社長の間で、忌憚なくコミュニケーションをとることが何よりも大事だと思います。指揮命令系統が2つに分かれてしまっているのは、社員にとって気の毒ですし、お客さまにも迷惑がかかりかねません。

ご質問者の立場であれば、社長と創業者から違う指示が出ていますが、どうしたらよいでしょうか?と社長に問いかけて、善処を促すことも有効な手だと思います。

二頭政治は組織内部を混乱させるだけです。部長の立場であれば、両巨頭の間で意思疎通を図り、指揮命令系統を一本化してもらうよう、社長に進言することも可能かと思います。全社的な見地から、一本化の努力を上手く図ることをお勧めします。

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