オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年12月27日レター)

【読者】地方の金融機関で働いています。県内が4つのエリアに分かれており、エリア内を統括する支社があり、支社の下に支店が複数あります。私は支社勤務でエリア統括マネジャーをしております。

支社同士も、また支店同士も、お互いに競争を意識しているせいか、お客様や本部に関する情報の共有がうまくいっておらず、敵対することが多くて思案しています。

本部からは、毎月初めに、各支店の売上・新規顧客数など評価項目ごとのランキングが送られてきます。それを元に、支社内で今月の修正計画を立てて、本部に数字などを上げることになっています。私は、月の大半をこの資料づくりに忙殺されてしまい、エリア内を見て回ることや、長期的な成長戦略を考える余裕がほとんどありません。

他の支社では持っていない情報を本部からとろうとしたり、大きな顧客を取り合ったり、といった支社間の敵対意識が強く、これをどう統括するべきなのか悩みます。競争することも大事だとは思いますが、目先の競争よりも長期的な成長を描けるような支店と支社の関係をつくるにはどうすればよいでしょうか。

内向きな意識を外へ向かわせるよう、社内カルチャーを変える必要があります

【宮内】ご質問者の社内事情を読んで、少し違和感をもちました。というのは、社内では情報を共有し、新規マーケットを開拓し、既存顧客と良い関係を維持し、結束してライバル会社と競争するのがビジネスの鉄則だと考えるからです。何よりもエリアによって状況が違いますし、当然強弱もあるでしょうから、社内のエリア同士で競争するのは全く合理的ではないように思います。

長期的な成長を描けるような支店と支社の関係をつくるにはどうすればよいかというお尋ねですが、まずはご質問者の部署が率先して情報を開示し、他のセクションと協力することから始めてみてはいかがでしょうか。会社全体が内向きで仕事を進めているような社内カルチャーを変えて、外との取引を大事にし、会社全体が外へ向かって働きかける体質に変わるように、まずは「隗より始めよ」の格言どおり、ご質問者が行動されることをおすすめしたいです。支社勤務でエリア統括マネジャーというお立場なら、それができるのではないでしょうか。

どれほど優れた資料をつくったとしても、会社がよくなるわけではありません。それよりも、エリア統括マネジャーが率先して行動すれば、他のエリアが刺激を受けて変化が起きることと思います。あなたが動けば社内が変わる。私は、どんな組織でも中核に近いところにいる有能な人材が3人から5人も集まれば変革を起こせるものだと考えていますし、幾多の事例も見てきました。お手紙を読む限り、この組織は目的を間違え病んだ方向へエネルギーを集中しています。変革なくして成長はできないのでしょう。

ご質問者が社内カルチャーを変える原動力になり得ますし、またそうなることを期待しています。

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