オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2022年1月17日レター)
【読者】広告業界でマーケティング部長として8人の部下のマネジメントを担当しています。部下の中で、非常に優秀な人材が1人います。さまざまな業界に明るく、SNSをうまく利用しながらデータを分析する手腕はピカイチで、わが部の業績が社内でも好成績なのはこの部下の力が大きいです。しかしながら、周囲に対する配慮が欠けており、才気走って他のメンバーを批判するといった行動が目立ち、誰も彼とは組みたがりません。
マーケティング部では、特定のクライアントと個々の部員が近くなりすぎないように、チームを組んで顧客を担当させていることもあり、いかに優秀であっても、チームワークができないことはマイナスです。他のメンバーは、能力はそこそこですが、チームをうまく組んでそれなりの結果を出すことができています。
優秀で仕事はダントツ、一番大きな結果を出すが、組織の統率を乱す部下。能力は普通だが周りと組んでそこそこの結果を出す部下。マネジメントとしては、この両者をどう育てていくのが適切でしょうか。ご教示いただければと存じます。
部下の良いところを生かすようにすると最も効率よく業績が上がります
【宮内】たとえ仕事がよくできても、周囲に対する配慮ができず誰もが組みたがらないほどだというのは、大きな欠点だといえます。プラスが大きいがマイナスも大きいということになると、総合点は他の人より突出してよいわけではない、という判断になります。
このような場合は、部下の欠点をきっちり指摘してよい方向に変えていくことも、上司の役割でしょう。当人がこのまま仕事を続けますと、気がつかないうちにお客さまに迷惑をかけたり、欠点がさらに大きくなってしまうこともあり得ます。欠点については、上司が教育して修正を図るべきです。欠点を自ら直すというのは難しいことですが、まずは当人に問題点を認識させることが大切だと思います。
逆にこの部下の優れている点が、マーケティング担当として身につけておくべき専門性であるとしますと、他のメンバーが彼を真似して力を伸ばすように育てていくこともまた重要です。マネジメントする際には、部下の良いところを生かすようにすると、最も効率よく業績が上がるのではないでしょうか。
マネージャーは業績を管理するだけではなくて、一人ひとりの部下が専門知識を身につけるための手助けをすることも大事な役割です。個々の部下の癖や個性をよく観察しながら、良い仕事を与えて経験を積ませ、良いところを伸ばし、欠点を小さくするように育てていくと、チームの総合力がぐんぐん伸びることと思います。