オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年11月22日レター)

【読者】新卒でコンサルタント会社に入社し、いま7年目になりました。所属は、主に金融業界を担当するラインの部長の下にいますが、横櫛を通す形で、プロジェクトXとプロジェクトYの2つのプロジェクトチームに入っています。

日常業務を進める中で、Xのプロジェクトリーダー、Yのプロジェクトリーダー、ラインの部長の3人が、1on1ミーティング(部下の自主的な行動を促すためのコミュニケーションを目的とする1対1のミーティング)を行うといって、頻繁に私の仕事時間を拘束します。IT会社の1on1ミーティングが話題となり、世の中で流行っていることもあって、弊社内でも1on1ミーティングをやることが必要で良いことだとされています。

しかし、業務上で相談が必要になるとき時以外は、こちらから話したいことはありません。それぞれのリーダーから1週間に何度か呼び出されると、現場はただでさえ忙しいのに、業務時間をとられてしまい、かえって生産性が下がるととまどっています。このようなミーティングは、本当に大事なのでしょうか。

ラインの部長に要望しようとも思いますが、プロジェクトから外されてしまいそうで、言いにくいです。このような場合はどう考えればよいでしょうか。

経験と力を蓄えつつ、マネジメントの勉強もさせてもらえる良い機会であると捉えてください

【宮内】一般的にマトリクス組織は、業務効率を向上させ、品質を高め、トップマネジメントの負担を軽減させるという目的で遂行されるものですが、その使い方によっては、指揮命令系統が二元化したり、逆に無責任体制を作ってしまい、メンバーにストレスがかかるというデメリットが起きやすくなるものです。

ですから、縦のラインと横櫛のプロジェクトのリーダーが双方有能で、自分の立場と相手の立場をよく理解して連携し合わなければ、マトリクス組織を上手く運営することは難しいでしょう。ましてやご質問者の場合は、指揮命令系統が三元化される状況に置かれているわけですから、非常に複雑で困難な立場にいらっしゃることと推察します。

もし、3人のマネジャーが、1on1ミーティングといいつつも、内心は業務報告を受けたいと望んでいるのであれば、こちらからメールなどで定期報告をすることによってマネジャーたちの不安な気持ちを取り除いてあげると、頻繁に呼び出されることは減るかもしれません。仕事の進捗状況や懸念事項などについては、マネジャーたちに定期的に報告してみてはいかがでしょうか。

今の会社で仕事を続けるためには、3人のマネジャーと何とか上手く折り合いをつけながら、コンサルタントとしての経験を積み、力をつけていく以外にはありません。経験と力を蓄えながら、同時並行でマネジメントの勉強もさせてもらえる良い機会であると捉えて、今は研鑽を積まれることをお勧めしたいと思います。

基本的に組織で仕事をする場合、理想的な上司に恵まれることは稀で、多くは種々なクセを持っているものです。組織人としては反面教師ととらえ、上司と付き合いながら良い面を学ぶ心掛けが必要です。

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