オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年4月26日レター)

【読者】IT企業で約50名のメンバーを率いる法人営業部長を務めています。メンバーのそれぞれに個性があり、マネジメントは一筋縄にはいきませんが、一人ひとりをよく観察して、よいところを伸ばせるようにというポリシーのもとにこれまで育成に力を入れてきました。

50名の中で、次のリーダーをやらせてみたい二人の候補がいます。一人目は、仕事に対して非常にポジティブな姿勢を持っているため大きな仕事を与えてみたくなる人物で、部下からの評判も悪くないのですが、結果にムラがありすぎるところに難点があり、任せて大丈夫かなと案じています。二人目は、必ず一定以上の結果を出すのでプレイヤーとしては信頼できるのですが、部下からの評判がイマイチで、果たしてこのリーダーにメンバーがついていくだろうかという不安があります。

このように一長一短あるリーダー候補が二人おり、どちらかを抜擢する判断を下す場合、宮内さんならどのような能力に目をつけて選ばれますか?

部員全員を育成するのが部長の務めではないでしょうか

【宮内】ご質問者は、ご自身が昇格するか、あるいは別の部署に異動することが決まっているので後継者を選びたいということなのでしょうか。いずれの場合にしても、次の法人営業部長を決めるのは経営トップの役割でしょう。課長クラスの二人の候補者からどちらかを選ぶということでしょうか。

いずれにせよ、候補者二人の欠点はわかっているわけです。結果にムラがある方の社員には、どんな案件でもよい結果を出せるように、部下からの評判がイマイチな方は、マネジメントの方法を改めるように、導くことです。欠点を正し、良いところはさらに伸ばしていくように、各々を育てることが部長の務めだと思います。将来、この二人が、「あのとき部長が育ててくれたな」と思えるようにしてやらなければなりません。さらに、二人の候補者だけではなく部下50名全員の力を伸ばしていくことが、部長の仕事なのではないでしょうか。

どのような能力に目をつけて選ぶかというお尋ねですが、その場合は総合点をつけてみて、仮に75点と70点であれば75点を選ぶという考え方です。抜擢の基準は、最終的には総合判断によるというのが正しいと考えます。

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