オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2022年2月21日レター)

【読者】運輸業の営業課長をしています。地域の一エリアを担当しているのですが、新規のお客様をなかなか開拓できず、売上の大半を前任者から引き継いだ1つの医療機関グループに依存してしまっています。コロナ禍で一時的に需要が増えたこともありましたが、近い将来を想起しますと、このままではじり貧になりかねません。

候補となるお客様をリストアップし、ライバルよりも価格を下げて交渉したり、新たに付加価値の高いサービスを提案したり、さまざまに工夫して営業攻勢をかけてまいりましたが、なかなか結果が出ません。

もし、唯一の得意先である医療機関グループの仕事がなくなったらと考えると、不安で仕方がありません。一刻も早く新しいお客様を見つけて、得意先を増やしていきたいのですが。得意先に依存しないような営業スタイルに変えたい場合、どのように考えたらよいでしょうか。

お得意先を大切に守ることが重要です

【宮内】ご担当のエリアでは一つの得意先に依存しているということですが、少し視点を変えて、全社的な視座から見てみるとどうでしょうか。おそらくこの得意先は、数多の重要取引先の中の一つということになるのではないでしょうか。

医療機関グループのお客さまは、過去の営業担当が苦心惨憺してやっと手に入れた大顧客なのでしょう。そうであれば、このお客さまを何が何でも手離さないようにするというのが全社的なミッションになります。一生懸命、営業活動に力を注いで新しいお客さまが見つかったとしても、その結果、最も重要な取引先が離れてしまっては元も子もありません。

このお客さまとの取引を大切に守っていくことを第一のミッションとして、余力で焦らずにじっくりと新しい顧客を攻めていくのが正しい考え方のような気がします。エリアごとに大切な顧客があり、関係を大切に守っていくということも、非常に大きな役割なのだと思います。ご質問者のエネルギーの大部分は、この医療機関に注ぐべきなのではないでしょうか。

現在のお得意先と良好な関係を維持して誠心誠意サービスし満足度が高まったら、お得意先が他のお客さまを紹介してくれることもあるかもしれません。一つのお客さまを大切にしていると、別のお客さまにつながることはよくあることです。

次の大口顧客は、そう簡単に見つかるものではないでしょう。当面の間は、この大事な取引先を大切にして決して離さず、新規開拓はその次の優先順位として、大きな成果を求めず地道に続けられることをおすすめします。

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