オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2021年9月20日レター)

【読者】9年前にキャリア採用で上場企業に転職しました。開発担当のなかでも、営業に技術をわかりやすく伝え、それをソリューション提案に生かすという役割を担っておりまして、やりがいのある仕事です。

しかしながら、残念なことに、今の勤め先では、財務数字の改ざん、営業担当のコンプライアンス問題といった不祥事が続いて起きてしまいました。不祥事が起きるたびに、再発防止策が発表されるのですが、私から見てその効果があるとは思えず、会社の体質は変わりそうもありません。私自身は、自分の仕事や役割に集中していく考えでいましたが、なぜ不祥事が続いてしまうのか、そこが残念でなりません。

不祥事を繰り返し起こしてしまう組織にいると、「またなのか……」とモチベーションは下がりますし、家族や友人からも心配されていて、なかなか胸を張って働くことができません。転職した当初は、業界の中で安定した位置にいましたし、福利厚生が完備していることもあり、働きやすい会社だと思っていました。

私にはまだ幼い子供もいますし、このままこの会社に自分の人生を託してよいのか、再び転職を考えた方がよいのか、迷っています。不祥事続きの会社に勤めている社員は、自分の未来についてどう考えたらよいでしょうか? 宮内さんのお考えを教えてください。

与えられた場所で、淡々と前向きに仕事に取り組むのがよいのではないでしょうか

【宮内】不祥事続きの会社にお勤めとのことで、不安なお気持ちをお察しします。ただ、今はガバナンスが強化される世の中になっていますし、株主からの圧力もありますので、不祥事がいつまでも続くということは考えにくいと思います。そうでなければ、会社が存続できないでしょう。

不祥事は遅かれ早かれ対応策が実行され、改善に向かっていくはずですから、ご自身の仕事にやりがいを持たれており、不祥事とは無関係の部署で仕事をされているのであれば、自分に与えられた場所で、淡々と前向きに仕事をされるのがよいのではないでしょうか。どこかに移るという決断は、もう少し会社の今後を見極めてからでも遅くはありません。

もし仮に、不祥事に関わる部署に所属しているような場合には、そのような行動は峻拒し、一切関わらないという強い姿勢が必要です。

いずれにしても、今後ガバナンスが強化されることを信頼して、会社の内情に左右されることなく、“I am me”(私は私である)という精神で、黙々と、やりがいのある開発の仕事に取り組み実績を挙げ、ご質問者の力と存在感を高めることの方へ注力されることをおすすめいたします。ご質問者の実力が備わっている限り、前途を不安視することはありません。もし今の会社を辞めることになっても、必ず受け皿は出てくるはずです。

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