オリックス シニア・チェアマンの宮内さんが3分間レッスンの読者のみなさまの質問にお答えします。(2022年1月31日レター)

【読者】小さな食品工場を始めて2年と少し経ちました。努力の甲斐あってお客さんの開拓がすすみ、われわれの商品を認めてくださるお客さんが少しずつ増えています。順調に売り上げが伸びているのはありがたいのですが、なぜか肝心の利益が減ってしまいます。

これまで、単価を上げたり、また単価を引き下げて数量を伸ばしたりといった様々な方法を試みたのですが、売上を伸ばすことができているのにもかかわらず、それが利益に反映しません。なぜなのでしょうか。固定費の部分は仕方がないとしても、変動費についてどのように考えたらよいでしょうか。

また、資金繰りに困ったときの効果的な借り入れ方法や、銀行との上手な付き合い方がわかりません。経験が浅いこともあり、試行錯誤の連続なのですが、経営のプロフェッショナルとして宮内さんから教えていただけたらうれしいです。

経営者は常に会社の計数管理をしながら事業運営をしていくことが必要になります

【宮内】会社を経営するには、多くの数字を管理する必要があります。その中でも売上と利益は、まず最低限、押さえておかなければなりません。売上だけを伸ばすことに意識を向けるのではなく、利益とセットで考えなければ意味がありません。売上は伸びていても赤字の会社は数多くあります。収益構造がどうなっているのか、全体像を把握することが大切です。

創業後約2年とのことですが、創業期は少なくとも損はしない形で運転していくのがよいと思います。とはいっても、もし資本金が潤沢にあるのであれば、少しぐらい赤字になっても耐えられる場合もありますし、どこまで赤字が続くと会社が持たなくなるというラインがあると思います。創業期の先行投資として、コストをかけても営業を仕掛けるといった考え方もあるでしょう。このように、経営者は、常に会社の計数管理をしながら戦略を立て、事業運営をしていくことが必要になります。

日本の場合は、海外と比べてまだベンチャーキャピタルが弱いということもあり、創業期に資金を借りるのはなかなか難しいでしょう。銀行が資金を回収できると判断できるような事業内容、財務内容であれば、銀行と自然に付き合えるようになるはずです。

しかしながら、まだ創業間もない時期ということになりますと、最悪自宅を担保とした個人保証を要求されるといったこともありますが、そうまでして事業をすることには慎重になった方がいいと私は思います。あくまでもご自身の企業体力の範囲内で、事業を続けられることをおすすめします。

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