自由貿易で国際分業することが、全員にとってメリットがあることなのだろうか。この議論に終止符を打ったのが、イギリスの経済学者、リカードが提唱した「比較優位論」。世界各国は自由に競争して、分業して最も効率のいい形にしようというのが戦後の国際社会の流れでした。しかし、その中心であったアメリカが「自由貿易はよくない。自分たちが赤字を抱えるのは国家にとって損失」と考え、各国に高い関税をかけ始めました。加谷珪一さんは、「保護主義的な価値観は、実は全世界で共有されている。自由貿易の価値観が崩れ始めている」と指摘します。