サイゼリヤの人気メニューに「ミラノ風ドリア」があります。いまや店舗あたり平均1日100食、全店では日に10万食が売れるお化け商品です。1999年、サイゼリヤは480円で販売していたこの商品を、290円にまで値下げし、ファミリーレストラン業界を驚かせました。じつはこれは、客数アップを狙った戦略の一環。狙いは、ばっちりあたりました。サイゼリヤが思い切った戦略に打って出られたのには、理由があります。2つの要素の相関関係を表すグラフ、「散布図」を使って解説しましょう。

ミラノ風ドリア、480円から290円への大幅値下げの衝撃

1999年、サイゼリヤはミラノ風ドリアの価格を480円から290円へと大幅に値下げしました。

190円の値下げですが、300円を切ることで、世間には200円は下がったという印象を与えたようです。これが火付け役となって、ファミリーレストラン業界では値下げ合戦が始まったといわれています。

ミラノ風ドリアの値下げは「チェーンストアとして“核”となる商品をつくろう」という戦略でした。ミラノ風ドリアを目玉商品として掲げることで、サイゼリヤを訪れる人を増やし、ほかの商品も食べてもらって売り上げを向上させよう、というのが狙いです。

そのためには、まずは値下げを通して“客数”を上げること。値下げの大きな目的は、この客数アップです。

ミラノ風ドリアを290円に値下げしたことで、狙いどおり客数は大幅にアップしました。そこで、ほかの商品でも290円の商品をつくってシリーズ化。“核”となる商品を増やすことで、客数をどんどん増やしていきました。

サイゼリヤがミラノ風ドリアを大幅に値下げしたことは、ファミリーレストラン業界に強いインパクトを与えました。他社も値下げ路線に走り、ファミリーレストランがやたらと値下げをしていたのが2000年あたりのことです。

サイゼリヤと他社のファミリーレストランの、売り上げ、客数をそれぞれ比較したグラフを見てみましょう(図15-1)。2つのグラフのうち、上が売り上げの比較、下が客数の比較、A社がサイゼリヤです。

売り上げのグラフと客数のグラフを見比べてみると、異なる線を辿たどっているように見えますが、このままだと何が違うのか、わかりづらいですよね。

そこで役立つのが今回のテーマ、「散布図」です。