本連載では、メルマガ編集チームでまとめたリーダーたちの悩みをぶつけ、堀氏にズバッと斬っていただく――。(2022年3月7日レター)
――不祥事、業績不振、望まぬM&A……非常事態の当事者となってしまったマネジャーは、どのように考え、動けばいいか。
【堀】人生には、残念ながら、予測していなかったこと、とんでもないことが起きてしまうものです。たとえその原因をつくったのがあなたではなくて、先輩、以前の上司、元経営者であったとしても、あなたが不祥事の渦中にある部署に異動となり、担当者として関わらなければならなくなることはあり得ます。
そんなとき、担当であるからには、何もかも忘れて、しゃかりきになってこの問題の解決に向けて頑張るしかありません。今起きている問題で、お客様や取引先にもご迷惑をおかけしています。会社の他部門も困っています。そのことも考慮して、一に解決、二に解決。全力を挙げて、解決を目指すことに真正面から取り組んでいくと腹を決めることが大切です。
真摯な姿勢を貫ければ、必ずや同僚や後輩、近くの部門の人々が見ていて、感動を呼ぶに違いありません。あなたの頑張る姿を見た若い後輩たちが、「先輩があんなに頑張っている。僕も頑張らなくては」という気持ちになります。
そうすれば、チームのモラールは回復し始め、メンバーの元気が湧いてきて、これまで出なかったような知恵も湧き出てくるものです。物事は、良い方向に回転し始めると、さらによい方向に回転していくものです。
自分は有名大学を卒業し、難関を突破してエリート社員になったのに、なぜこのような目に遭わなければならないのかと考えて、この問題に一生懸命取り組まない人物は、私はあまり値打ちのある方ではないと思います。
天が与えてくれた試練のときこそ、力の限り取り組むべきです。試練を乗り越えることによって、自信がついてきます。次にさらなる難題にぶつかったときにも、自分は乗り越えられるはずだという強い気持ちをもつことができます。
私の人生経験をお話しするなら、お客様が自分で解決できない難問を抱えているからこそ、私たちのような経営コンサルタントを雇っていただけます。その度に、果たしてこの難問を解決できるのだろうか、と不安に思いました。コンサルタントを辞めるまでその不安は消えませんでした。心の支えになったのは、数えきれないほどの難問を前に、曲がりなりにも解決策をつくり上げてきたという実績でした。メンバーと渾身の力を込めて知恵を絞り合えば、必ず解決策は見つかる。その一つひとつの積み重ねが自信と実績をつくってゆくものです。
難題であればあるほど、誰も答えを教えてくれません。一つひとつ真剣に考えて、逃げずに問題点を深掘りしていくことに尽きると思います。それが、あなたの今後のキャリアに必ず力を与えてくれます。