器の大きさは何で決まるのか。器が小さい人と思われないためには何に気をつければよいか。そこで心理学の専門家である齊藤勇氏、榎本博明氏、舟木彩乃氏の3氏に「器」について話を伺った。(内容・肩書は、2019年7月5日号掲載時のままです) 

心理学者が語る器の大きさとは

「あの人は器が大きい」
「彼は社長の器じゃない」

と言うように、“器”という言葉は日常的によく使う。しかし考えてみると、“器”とは抽象的でよくわからない言葉だ。そもそも器とは何なのか。「あの人は器が大きい」と周囲から思われるためには、何をどうすればいいのだろうか。心理学の専門家に聞いてみた。

立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇氏は、「器が大きいというのは、主に自分より上の立場にある男性に対して使われるほめ言葉です。女性に対して器が大きいとはあまり言わないでしょう」と説明する。

たとえば織田信長などの戦国武将や田中角栄など一時代前の政治家など、人間的に魅力のある人を称して「器が大きい」と言うことがほとんどだ。

一方、「“器が大きい”というのは、危機的状況においても自己防衛的ではない、ということかもしれません」と言うのは、心理学者の榎本博明氏である。

「何かトラブルがあったとき、すぐに言い訳をしたり、責任逃れをしようとする人を“器が大きい”とは言いませんよね。一方で“器が小さい”人は、すぐに感情の堤防が決壊して洪水になってしまうようなイメージがあります」(榎本氏)

ストレス・マネジメント研究者の舟木彩乃氏は、「“器が大きい人”とは、一言で言って心に“余裕のある人”でしょう」と定義する。

「余裕のある人は、人生は“自分が主役の物語”であることを理解していて、ストーリーの軸をしっかり持っています。それゆえ、人生に浮き沈みがあっても大きく動揺することなく、それを受け入れることができるのです」(舟木氏)