器の大きさは何できまるのか。器が小さい人と思われないためには何に気をつければよいか。そこで心理学の専門家である齊藤勇氏、榎本博明氏、舟木彩乃氏の3氏に「器」について話を伺った。(内容・肩書は、2019年7月5日号掲載時のままです)
人間は言葉以外で人を判断する
人間の器の大きさは、トラブルが起こったときこそ明らかになる。とりわけそれがあらわになるのが、謝罪の瞬間かもしれない。器の大きな人は、謝罪の場面でどのように振る舞うのだろうか。
アンケートでは、謝罪をするときはメールや手紙、電話などではなく直接会って謝るべきだという意見が大半を占めた。「これは当然の結果でしょうね」とうなずくのは榎本氏だ。
「言葉だけなら、なんとでも言えますから。精神分析学者のフロイトも『精神分析では言葉以外のものが溢れ出ていく』と、非言語的側面の重要性を指摘しています」(榎本氏)
「言葉以外の部分が大事」だと言うのは齊藤氏も同様だ。
「私たち人類は、動くものを追いかけて捕らえて生き延びてきました。だからいまだに私たちの目は止まっているものより、動きのあるものに吸い寄せられてしまいます。手品のトリックがなぜ成功するかといえば、手品師がヒラヒラと手を動かして、観客の目をそちらに引きつけているからです。だから人間は服装よりも表情や仕草など、動くもののほうに目が向いてしまうんです」(齊藤氏)
ということは、「申し訳ない」という気持ちを表情や態度でしっかり表すことが重要だ。
また「自分が悪くなくても謝る」ことは、日本人にとっては器の大きさを示す行為だと言えなくもないが、舟木氏は、「自分に非がないのにすぐ無条件に謝る“過剰適応”をしすぎると、『こいつには何をしてもいいんだ』と器の小さいモラハラ上司に目をつけられる恐れがあります」と説く。
器の小さい上司に振り回されないためには「ここまでは相手にするけれど、これ以上は受け流す」というように、自分のなかで線引きをすること。
「この手の上司は自分より上の立場の人に弱いので、何かあったときに部下をかばってくれません。したがって、上司の承認欲求を適度に満たしつつも、社内の頼りになる人と繋がっておくといいでしょう」(舟木氏)