プロ野球の世界では、全球団、全監督、全選手が優勝を目指して激しい戦いを繰り広げています。しかし、同じ優勝であっても、「するべくしてするチーム」と「ふさわしいチーム」の2種類あると、名将・野村克也さんはいいます。同様に、ビジネスの世界においても、「繋栄するべくしてする会社」と「繁栄するにふさわしい会社」があるといえるかもしれません。野村さんのリーダー論から、その真意に迫ります。
優勝するチームには2種類ある
野村克也はいう、「優勝するチームには2種類ある」と。それは、「優勝するべくして優勝するチーム」と「優勝するにふさわしいチーム」である。前者は、才能ある選手を揃え、力で相手を蹴散らすような絶対的戦力を持つチームのこと。対する後者は、選手個々の才能は多少劣っていたとしても、全員が野球の本質を理解し、自らの役割と責任をまっとうし一丸となって戦うチームのことである。
同じことは、ビジネスの世界においてもあてはまるだろう。つまり、大資本の下、有能な人材が数多く揃う「繁栄するべくして繁栄する会社」と、多少資本力は乏しく、マンパワーが劣っていたとしても、世間のニーズを的確につかみ、アイデアに満ちた独創的なサービスや商品を提供する「繁栄するにふさわしい会社」である。
野村は、「監督の確固たるビジョンと哲学のもと、一丸となって戦うことのできるチームをつくれれば、たとえ弱者であっても強者を倒すことができる」と力説していた。野村のいう「野球の本質」とは、ビジネスの世界にあてはめれば「顧客のニーズ」であり、「社会が求めるもの」ということになるだろうか。
社会や顧客のニーズを見極めて、社員一丸となって突き進めば、資本や人的資源が苦しくても、「繁栄」という果実を手にすることができるはずだ。