日頃から効率を上げ、結果につながる努力を続けているに違いないMVP社員の「10倍速仕事術」。投資戦略のプロは、どのようなことに心掛けているのか。「朝の1時間半ですべてが決まる」というその情報収集とアウトプット術とは。(内容・肩書は、2014年2月3日号掲載時のままです)
海外の視点で日本市場を読む
投資戦略立案の専門家で、メディアでも引っ張りだこの藤戸則弘さんの一日は、朝五時、枕元に置いたiPadでの情報収集に始まる。
「目覚めてからベッドを離れるまでの一〇分程度、海外市況サイトを簡単に見ます。前日の予測に対して、イメージ通りだとか予想外な動きがあったなというのを、とりあえずざっくり確認するのです」
藤戸さんの業務は、個人投資家に向けて「どこに何を投資すればいいのか」情報を発信することだ。投資のベースとなる株価や為替、金利、コモディティ(商品)の数字を押さえておく必要がある。担当は国内株だが、朝一で確認するのは、海外におけるこの四つの数字だ。
「従来は国内情報で十分でしたが、今や東証の株式の売買は約六割が外国人投資家で、彼らが東証の動きを左右します。したがって、収集するのも六:四で海外の情報になります」
欧州市場は日本時間では夜中、米国市場は明け方にクローズする。そのため藤戸さんは朝起きぬけに海外市場のデータをチェックするわけだ。大雑把な流れを頭に入れた後は、世界のメーン放送局のニュースが流れるBS放送を流しながら、朝食をとり、出勤の準備をする。
「BSは、一般の地上波テレビでは放映されないような各国の政治、経済、社会、天災などの情報がタイムリーに拾えます。世界が向いている方向や、その国の庶民の関心事を掴むのは、マーケットを分析するうえでは欠かせません。海外情報は国内ニュースでも放映される場合もありますが、どうしてもタイムラグがある。私にとって情報はスピーディであること、グローバルに見ることが重要です。現地に住んでいる投資家がどういう目で見ているか、つまり外国人の目で日本市場を見ることが必要で、BSにはそのヒントがあります」