これまで進めてきた仕事の手を止めて、全く違う方針に切り替わることに。会社員であれば避けられない事態でもありますが、だからといって簡単に受け入れられるわけではありません。「頭での理解度と心での納得度は、それぞれ何点?」という質問が、部下のストレスを和らげる理由とは。

「良い変化は良いことである」というマインドセットを醸成しよう

部下が頻繁な方針転換を嫌うのは、当たり前です。

ようやく操作に慣れたと思ったゲームのルールが変わったら、またゼロからプレー方法を学び、スタート地点からやり直さなければなりません。「またやり直しか」「せっかくここまで頑張ってきたのに」と徒労感を抱くのは自然なことです。

ましてやその変化がいつ起こるかわからなければ、かなりのストレスです。いつ大きな地震が来るか予測できないことに私たちが不安を感じているように、不確実性は私たちに大きなストレスを与えます。

一方で、VUCA(ブーカ:Volatility 変動性、Uncertainty 不確実性、Complexity 複雑性、Ambiguity 曖昧性)と言われるほど外部環境が不確実な現代において、組織がずっと同じ方針に固執することは、好ましくありません。

上からの方針転換を下に伝達する役割を担うミドルマネージャーや中間管理職に求められるのは、「良い変化が起き続けることは組織やチームにとって良いことだ」というマインドセットをチーム内で醸成することです。

頻繁な方針転換やルール変更は確かにストレスだけれども、変わりゆく世界に合わせて試行錯誤を繰り返していることの証しでもあり、組織として健全な姿である。外部環境の変化や事業の成長に合わせて一定のサイクルで変化を積み重ねることは、会社の業績や自分たちの報酬を向上させるポジティブなことであり、必要不可欠である——こうしたメッセージを日ごろから発信するように心がけましょう。

「会社にとって必要だと思う変化があったら提案してほしい」というように、部下からの変化の提案を歓迎する姿勢も、変化を許容するマインドセットの醸成に有効です。