自分の経験を重視しているのか、チームが決めたことにいつまでも反論を続ける部下。頑固に凝り固まっている理由は、本人の性格以外に理由があるかもしれません。明らかに間違った意見を言ってきた場合も、「純粋に、何でそう思うの?」と問いかけてみましょう。頭ごなしに否定するよりも、実は効果的なんです。

自説を曲げない部下は、「自己中心段階」に留まっている?

チームの方針が決まったにもかかわらず、「リーダーのやり方は間違っている」「自分ならこうする」と現場で得た知見をもとにした自説を曲げない部下。リーダーの自分からは狭い視野に留まっているように思える。業界全体の流れに合わせたチームの方針に従ってほしいが、どうすれば説得できるだろうか……。

部下が自分の意見に拘ってしまうのは、部下の「性格」の問題ではなく、発達心理学のアプローチで解決できるかもしれません。

「成人発達理論」という考え方があります。これは、大人になってからの人間の内面的成長をモデル化した発達心理学の理論で、ハーバード大学教育大学院教授のロバート・キーガンは、主に5つの段階に分けられると説明しています。

第1段階である「具体的思考段階」は、いわば成人になるための準備期間であり、言語を習得した子どもや未成年が該当します。人間が成人して社会人になると当てはまると言われるのが、第2段階の「自己中心段階」です。この段階で私たちが目指すのは、自分自身の欲求を満たすことです。社会人経験をある程度積み、組織での振る舞いを習得すると、私たちは第3段階の「他者依存段階」に移行します。これは、既存の慣習や他者の意思決定に従って行動できるようになる発達レベルです。

この「他者依存段階」を経て、組織のなかで自らリーダーシップを発揮して活躍していくためには、第2段階と第3段階のハイブリッド型とも言える、第4段階「自己主導段階」への成長が必要です。第5段階「自己変容段階」は他者との深いコミュニケーションにより自らを成長させることのできる段階で、極めて限られた人のみが到達できるレベルだとされています。

キーガンの「成人発達理論」に基づけば、自説を曲げない部下は、自分の仕事や役割にしか関心を払うことができない第2段階「自己中心段階」に留まっていると解釈することが可能です。