年齢が上の先輩、しかし今では自分が上司。どう接していいものか。もう少し高いパフォーマンスを業務でも期待したいが、接し方を間違えれば機嫌を損ねることにもなりかねない。そんな悩みを抱えるリーダーが使うべき質問が「こんなこともできるのでは?」。その理由、あなたはわかりますか?

上下関係と考えず、役割分担と考えてみる

近年、日本型組織においても年功序列制度が徐々に弱まり、年上の部下を持つマネージャーは増加傾向にあります。敬意を持って接しなければと思う反面、業務命令を出す必要もあり、気苦労を感じている年下の上司も多いかもしれません。年齢を理由に反感を抱かれていることが明らかで、大変な思いをしている人もいるのではないでしょうか。

「逆転」した上下関係に気を遣ってしまうという人は、まず、上司と部下という職業上の立場を、役割分担と捉えるのがいいと思います。

サッカーの監督の仕事は、選手を育成しチームが勝利するための戦術を考えることです。一方、フィールドでプレーするのは、選手の役目。「俺のほうが監督の現役時代よりシュートが上手かったから、監督の指示は聞かない」と戦術を無視する選手がいれば、チームを勝利させることは難しいでしょう。

ビジネスも同じです。チームリーダーの役割は、メンバーの成長を促しチームの力で事業目標を達成すること。メンバーの役割は、個のプレーで成果をあげることです。上司が優れていて部下が劣っているのではなく、違う役割を課された者同士が協働しているのだと認識しましょう。

私自身にも年上の部下はたくさんいますが、彼らに引け目を感じることはありません。アカデミックなバックグラウンドを支えにして具体的な事象を言語化・モデル化し、現場を触発する語りをすることが、自分にしかできない役割であるということを認識しているからです。

一方で、特定事業の管理には長けていないと自覚しているからこそ、自分より圧倒的に優秀な事業推進マネジメント能力を持つ人たちを採用しています。結果的に彼らが年上だったとしても、違う役割を担っているので、年齢を理由に機嫌を伺うことはないのです。