チームの生産性を高めるためには、メンバーの働き方を絶えず改善していくことが不可欠。質問を上手に使えば、仕事のムダをなくしていくことも可能です。例えば残業時間が長い部下。「いま何か気がかりなことはある?」という質問をしてみましょう。仕事が進まない原因が、実は全く違うところにあるのが見えてきます。
定時を超えて働かないと達成できない業務量を与えていないか?
部下の残業時間が長い理由は、大きく3つが考えられます。
まず思い当たるのは、マネジメント側の問題です。通常、上司と部下の間で取り決める業務目標は、定められた労働時間と報酬の範囲内で達成されることを前提としています。
一般に、残業が増えるのは上司が業務を増やすから。例えば、「この新規プロジェクトを、これまでの業務に上乗せしてやってください(ただし給料は変わりません)」と上司が部下に依頼したとします。これは、「あなたはいま時間的に余裕がありますよね、仕事を増やしても定時に帰れるはずです」「労働の対価としての報酬は引き上げませんから、いまある余力以上を新規プロジェクトに注ぐ必要はありませんよ」という上司からのメッセージです。
こうした直接的あるいは間接的に提示された条件のもとで、部下は「わかりました、この新規プロジェクトをやらせてください」と応じ、上司と合意を結びます。ともすれば忘れがちですが、これが労働契約の基本的な考え方です。
すると、往々にして定時を超えて働かないと達成できない業務量が発生し、慢性的に残業代を上乗せしなければいけないという事態が起こります。そして、この状態はマネジメントエラーで、「定められた労働時間と報酬の範囲内で業務を達成する」という契約が破綻していることを意味します。あなたはマネージャーとして、部下の目標設定を見直したり、適切な報酬金額や報酬体系を検討したりする必要があるでしょう。
ところで最悪なのは、残業代を目的にわざと長時間勤務しているケース。部下が「成果をあげても給料は変わらない。だから長く働いて給料を多くもらおう」という考えに至ってしまったのも、マネジメントエラーの結果。部下の認識の早急な修正が必要です。