何度注意しても締め切りに遅れてしまう部下。これでは大きなタスクやプロジェクトが任せられない……改善する方法はあるのでしょうか。今回、紹介する質問は「予測がつかない作業はある?」。締め切りを守れないのは、本人の気持ちの問題ではないことが見えてきます。

スケジュールとは、ブラックボックスを前提に立てるもの

いつも約束の時間に遅れてしまう人がいるように、いつも締め切りに遅れるという人がいます。1回のアクシデントならまだしも、一度決めたスケジュールを守れないことが常態化しているとしたら、仕事のマネジメント方法に、ある問題が発生していると考えられます。

その問題とは、「仕事のブラックボックスに対処できていない」ということです。

私たちは仕事のスケジュールを立てるとき、手元にある情報や過去の経験をもとに達成までの段取りを決めています。しかし、ゴールまでのすべてのプロセスを最初から読み切れているわけではありません。どんなタスクやプロジェクトにおいても、「ここは何日かかるか判断が難しいな」「これはどっちに転ぶかわからないぞ」という、予測がつかない要素がいくつかあるはずです。

計画が不確実性を孕むのは当然です。重要なのは、不確実性を排除しようとするのではなく、どこに不確実性が隠れているかを認識し、ブラックボックスがあることを前提としたうえでスケジュールを立てることです。

「マネジメント」という単語は「管理する」という意味でよく使われ、受身で静的なイメージと結びついている場合も多いと思います。しかし、manageという動詞は本来、「困難な状況のなかで物事を何とかうまくやりくりする」という、積極的かつ動的なニュアンスを強く持ちます。

締め切りを守るという仕事上のマネジメントは、言われたことを淡々とこなせば実現できることではなく、幾多の障害物が立ちはだかるレースを何とか走り抜けることで初めて達成できることなのです。