わたしたちは言葉を使って思考し、その思考をもとに様々な行動をしています。でも、そのもととなる言葉について、無意識にネガティブな言葉を使う人がとても多いことが研究でわかっています。自分の口ぐせを振り返り、ポジティブな言葉を増やしていくことで、人生を大きく変えていく方法を紹介します。
事実は変わらずとも解釈は変えられる
アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)の調査によると、人間は1日に1万2000回から6万回の思考(考えごと)を行っているとされます。それらの思考は、当然ながら「言葉」を使って行うわけですが、驚くべきことにそのうちの80%、約9600回から4万8000回はネガティブな思考をしているというのです。
このことを前提に考えると、1日数万回もの思考において、「うまくいかない」「調子が悪い」「最悪だ」というようなネガティブな言葉を思い浮かべるのか、「なんとかなる」「ラッキーだ」「大丈夫だ」というポジティブな言葉を用いるのかで、つくられる心はまったく違ってくるはずです。
同じひとつの事実でも、それに対して肯定的な解釈をすることで人間の心は前向きに変わります。そして、心が変わっていけば、自分という個性を表現できるようになり、よりよいパフォーマンスを発揮できるようになる。それこそ、自分が設定した高い目標にも到達しやすくなるということです。
事実は解釈によって変わることを示す例として、よく水が半分入ったコップが引き合いに出されます。「コップに水が半分しかない」と捉えるか、「半分も残っている」と捉えるのかで、同じ事実でも、人にとっての感じ方が変わるというわけです。このとき、「水が半分もある」と捉えた人は、肯定的な面を見る解釈をしたということです。これが、心の視点をネガティブ側からポジティブ側へと移す「視点移動」です。
自分が発する言葉を変えることで、自分の力で心の視点を移動させていくこと。たとえ「最悪だ」といいたい事実を前にしても、「大丈夫」「なんとかなるよ」という言葉を発していく。そんなことを続けていくだけで、長い目で見ると人生が大きく変わっていくことは間違いありません。