成長する人材、永続する組織には、いずれも「変化することを恐れない」という共通点があります。一方、いくら努力しても停滞が続く人や組織には、「これがいままでのやり方だから」「自分はこの程度だろう」といった決めつけ、思い込みがしばしば見受けられます。野村克也さんの遺した名言のひとつに「固定観念は罪、先入観は悪」というものがありますが、その背景にはどんな思いがあったのでしょう。

成功者ほど自分を変えることができない

成功体験がある人や華やかな実績のある人ほど、なかなか自分を変えることができないものだ。これは、一個人に限らず企業や組織についてもあてはまることだろう。だが、時代が変われば人も変わり、世の中の流れも変わる。自らを取り巻く環境や置かれる状況だって変わる。

そうなれば当然、従来の方法ややり方も変えるべきだが、どうしても「いままではこれで成功してきたのだから」「これがわが社のやり方だから」といって、従来のアプローチにこだわってしまうケースは多いものだ。

その根底にあるのは、「いまここで、下手に変えたら失敗してしまうのではないか」という恐怖心である。だから「変わること」を拒絶してしまうのである。すると、組織の場合は環境やシステムが硬直化し、個人ならば固定観念に縛られた融通の利かない人間に陥ってしまうだろう。

選手たちのそんな状況を目の当たりにしたとき、野村克也は「変わる勇気を持て」と告げていた。伸び悩んだり、壁にぶち当たったりしている選手には共通項がある。アマチュア時代の実績や他球団での実績はとても素晴らしいが、頑なにそれまでどおりのことを続けてしまうという点だ。それでは進歩も発展もない。そんなときは、自分を変えるしかないのだ。だからこそ、「変わる勇気を持て」と、野村は説いたのである。