どんな人であれ、ネガティブな出来事が一切起こらない人生を送ることなどできません。そんな出来事に遭遇したときは、思い出したくない記憶にする前に「解釈の仕方」を変えてみることが有効です。そうするためのヒントは、あのスティーブ・ジョブズが遺した言葉にありました。

懸命にトライしたことは、決して無駄にならない

これまで50年以上生きていますから、もちろんわたしにもネガティブな出来事に出くわした経験があります。その出来事が起きた当時は精神的にはどん底の状態で、あとから思い出したくもないような記憶となっていました。

でも、ある言葉をきっかけに、その記憶に対する解釈の仕方が変わったのです。その言葉とは、「コネクティング・ザ・ドッツ(Connecting the dots)」というもの。これは、「点と点をつなげる」という意味で、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチで使った言葉です。

ジョブズがいう「点」とは、「行動の結果」を意味します。これまでに自分が残してきたいくつもの点がつながり、いまの自分につながっているのだといいます。でも、点を残す時点では、その行動や判断が正しいかどうかはわかりません。

そうであるなら、いまこの瞬間にできること、あるいはやるべきことは、自分が「やりたい!」「知りたい!」「探求したい!」と思うことに真摯に向き合い、とことんまでやり尽くすことだけです。そうして一生懸命に取り組んだことは、決して無駄にはなりません。それらの点が有機的につながることで、いまの自分にとって価値のあるものを生み出してくれるのです。

わたしは、この言葉に触れ、「まさにそのとおりだ!」と感じました。そして、ネガティブな出来事も含むあらゆる行動の結果が、いまの自分をつくってくれているのだと思えるようになったのです。