人前で行う「プレゼン」が苦手というビジネスパーソンはたくさんいます。でも、プレゼンの達人である澤円さんは、そもそもプレゼンという行為の考え方自体がずれている場合が多いと言います。魅力あるプレゼンをつくる前提条件と、具体的なプロセスに沿ってそのコツを聞きました。

プレゼンは聞き手に贈る「プレゼント」

僕は、プレゼンは聞き手への「プレゼント」だと考えています。ただ何かを説明し、商品やサービスをすすめることではなく、聞き手に「大切なメッセージを贈る」という意味です。少なくとも「土産話になるようないいネタを渡してあげる」。そんな親密な姿勢が必要です。

人にプレゼントを贈るとき、注意したいのは、相手を勝手に「括る」とそのプレゼントは喜ばれないというメカニズムです。たとえば、相手がティファニーのジュエリーが好きなのであれば、ティファニーを贈るととても喜ばれることは間違いありません。でも、固定観念で「女性はティファニーが好きだから」とだけ考えていると、相手にとってのありがたみがまったく変わってきます。あたりまえですが、ティファニーに惹かれない女性もたくさんいるからです。でも、この間違いをおかす人が実に多いのです。

そこで、プレゼントを贈るときは、個別具体的に相手を見る必要があります。ただ、プレゼンというのは不特定多数に向けて行うため、プレゼント選びがちょっと難しい。簡単に言うと、個々の相手に贈るメッセージを考えながらも、その場の人たちが「最大公約数」として受け入れることができる情報や要素が、プレゼンのいいネタになります。

まずは、人を「属性(性質・特徴)」などの枠組みで括らないことを意識してください。女性だから、男性だから、ビジネスパーソンだから……と考えないことが大前提となります。