プレゼンの達人である澤円さんによると、プレゼンで大切なのは、「何のために話すのか」という目的を見据えて、テーマに関する「本質」を伝えることだと言います。「最強のプレゼン技術」では、そんなプレゼン内容の考え方のほか、スライドの作り方やデータの扱い方、クロージングまで、実践的な技を紹介します。

テーマを抽象化して「本質」を伝える

導入から聞き手を惹きつけるには、プレゼンのテーマに関する説明などからはじめないことが求められます。何かを説明するだけのプレゼンは、僕はあまり意味がないと考えています。なぜなら、情報を共有するだけでいいのなら、事前に資料を配れば済む話だからです。

導入以降の展開では、内容の軸になる「本質」を伝えていくことが大切です。そのためには、伝えたい内容を「抽象化」し、その本質だけを伝える作業が必要となります。抽象化とは、端的に言うと、あるものごとや概念に関して「要するに、こういうこと」と言い換えられることです。

抽象化ができずにものごとの本質をつかめないでいると、どれだけ導入にインパクトを持たせても、それに続くのは事象説明や解決策の提示だけになり、聞く人は内容をなかなか「自分ごと」化できません。実は、これは仕事で結果が出ない人の特徴にも重なると、僕は見ています。要するに、ものごとを抽象化する力が不足していると、効果的・生産的なアクションに結びつけることができないのです。

そこで、ふだんから「要するに、こういうこと」と考えながら、世の中の問題や仕事の課題を言い換えるクセをつけてみてください。違う視点からものごとを見ると、示唆に富んだ考え方などが意識に引っかかるようになり、多様な情報同士も結びつきやすくなります。そうして意外性のある、魅力的なエピソードが見つけやすくなるのです。

そのなかから、多くの人がアクセスできる情報ソースをもとにしたネタをプレゼンに盛り込めば、「話がわかりやすい!」「納得できる!」という印象を持ってもらえるはずです。