自分より年上の人や、権限が大きい人と1on1でコミュニケーションするときにも、迷う場面はたくさんあるものです。でも、そんな人たちとの1on1は、ビジネスをより生産的にしていくための絶好の機会になると澤円さんは言います。ここでは、そうしたシチュエーションの際に押さえておきたい実践的なポイントを見ていきます。
「短時間で意思決定できる材料」はあるか?
僕は若い人と話すときも、年上の人と話すときも、口調が大きく変わることはありません。ただ、ビジネスでは、年上の人に対して“ため口”で接するようなことも当然ありません。むかしから心がけているのは、相手を「カジュアルにリスペクトする」姿勢です。
これは相手を極端に持ち上げることなく、カジュアルでいながらも、丁寧に接するということです。たとえば、相手と話すときに、敬語などの「話し方」(言葉の丁寧さ)にこだわりすぎると、脳のリソースがそればかりに割かれてしまい、肝心の「なんのために話しているのか」を見失いがちになります。会話では、ほどほどのカジュアルさを心がけながら、何よりも「目的」に集中することが大切なのです。
具体的に、大きな権限を持つ相手との1on1のコミュニケーションの方法としては、「相手が短い時間で正しく意思決定できる材料」を持っていくことです。「いまは◯◯という状況です。わたしは◯◯の方法が適切だと考えますが、ほかにどのような行動が考えられますか?」というように、相手の判断を促すような伝え方をすることが必要です。
役職者やマネジメント側の人たちは、その権限が大きいことが本来の存在意義だと考えられます。状況を判断し、意思決定をして、その権限を適切に行使することが仕事なのです。そうであるなら、彼ら彼女らに伝える側は、意思決定しやすい材料を持っていくことがポイントになります。
裏を返せば、マネージャーやリーダーの仕事は、チームメンバーからもたらされた情報や考え方をもとに、正しく意思決定することであり、評論や批判をするのではないといえるでしょう。