多くの人がつまずきがちなビジネス会話のシーンが、1on1のコミュニケーションです。いま、マネージャーやリーダーの人が、若い世代のチームメンバーと話すときに、いったいどんな点に注意すればいいのでしょうか。ここでは、ビジネス会話の達人である澤円さんが、1on1の大前提となる考え方と、具体的な接し方のプロセスを紹介します。

「学級委員長」としてチームメンバーと接する

1on1に限らず、コミュニケーション全般にいえることですが、前提として「すべての人はフラットである」ことを意識してほしいと思います。自分よりも年下だとか、役職が下などと考えている時点で、1on1のコミュニケーションはすでに失敗しています。そこで、僕はよくマネージャーやチームリーダーの人に対して、「あなたは学級委員長なのですよ」とお伝えしています。

学級委員長は、生徒のひとりが「係」として行うだけで、別にその生徒が偉いわけではありません。学級会の司会をしたり、意見を取りまとめたり、クラスを代表して担任と話し合ったりしますが、あくまで同じ生徒であり、ほかの生徒とはフラットな関係にあります。同じように、会社や組織で「長」という役職名がついていても、一社員であることに変わりはないということです。

ですが、日本のビジネスパーソンには、年齢や役職を基準にしたヒエラルキーで人との関係性を考える人がとても多いと感じます。当人の性格や考え方にもよりますが、これは構造的な問題ともいえるでしょう。終身雇用と新卒一括採用という人事システムによって、人材が階層化するメカニズムが根強く機能しているわけです。

しかし、いまは人材の流動性が高まり、特に若い世代の人たちはこれまでのシステムにほとんど意味がないことを、すでに知っています。そもそも「管理職」なんていう言葉があること自体が不思議で、ただ管理するだけならAIのほうがよほど的確にできるでしょう。そんな時代に、役職に就いているからリスペクトされると考えるのは、単に「イタイ人」なのです。

それよりも、「学級委員長としてチームをうまくまとめる役割だ」とみなしたほうが、自他ともに与えるストレスが少なく、何よりフェアな態度です。ぜひ、「すべての人にフラットに接する」ことを実践してみてください。それだけでも、新しい可能性がどんどん広がっていくはずです。