人は誰でも得意、不得意、強みや弱みを持っています。そんな多様な個性や能力の集まりが会社という組織です。一人でできることは限られています。しかし、この組織力を生かせば、想像以上の成果を上げることもできるのです。
上手に周りの人の力を借りましょう。というより、力を貸してあげたくなるような人になりましょう。今回は、そのための技を解説します。
松下幸之助は、学歴がないおかげで大成功した
中国の最初の統一王朝、秦末期に2人の対照的なリーダーがいました。司馬遼太郎さんの歴史小説でも有名な項羽と劉邦です。項羽は戦にたけた圧倒的な猛将でした。しかし半面、傲慢で人情に薄く、部下をただ支配するだけで意見を聞き入れませんでした。一方の劉邦は、戦には弱かったものの、屈託のない性格で人から愛され、知恵のある部下の助言や提案には素直に従いました。
自分の強さに慢心してすべてを自分一人で仕切ろうとした項羽と、弱さを自覚して部下の長所を活用した劉邦。結果的に勝利を手にしたのは劉邦でした。
ビジネスの世界にも、項羽と劉邦の物語に似たような例はたくさん転がっています。私自身、項羽的な働き方をして、結局運を落としました。どんなに仕事ができても、一人の力はたかがしれているのです。
パナソニック創業者の故・松下幸之助さんは、成功の秘訣を聞かれて「学歴もなく、体も弱かったおかげです」と答えました。
学歴がなかったので、素直に人に教えを請うことができた。
体が弱かったので、人に頼って仕事をしてもらうことを覚えた。
自分に与えられた一見マイナスな運命を受け入れ、それを積極的に活用したことで人生が拓けたのです。人は誰でも完璧ではありません。だからこそ、周りの力や助けが必要なのです。では、上手に人の力を借りるにはどうしたらいいのでしょうか。