家族や友人、同僚から「ねえ、ちゃんと話聞いてる?」「この話、つまらない?」などとイヤな顔をされたことはありませんか?
人が話しているのに、スマホをいじってうわの空。相手に視線さえ向けず生返事。その何気ない行動が、運の神さまから嫌われる原因です。
さて、あなたはどんな地雷を踏んでしまったのでしょうか?
「あなたのことを大切に思っていますよ」のサインを送る
前回の第17話で、自己重要感について詳しくお話ししました。自己重要感とは、簡単に言えば「自分を価値ある存在と思いたい」という欲求のこと。誰もが例外なく持っているものです。自己重要感が高まる場面はいろいろありますが、その一つが誰かが自分の話をじっくり聞いてくれたときです。これに関しては、興味深いエピソードがあります。
私の会社にF君という青年が新入社員として入ってきました。控え目で目立つタイプでもありません。真面目ではあるものの、大きな成果も見られません。ところが、F君が入社して2年が過ぎた頃のことです。何人かの社員に優秀な若手は誰だと聞いたところ、ほぼ全員からF君の名前が挙がったのです。その理由は「人の話を黙って真剣に聞いてくれるから」でした。
詳しくリサーチしたところ、「F君といると居心地がいい」「楽しい気持ちになる」「誠実だ」「信頼できる」など、ものすごいほめられようです。F君は周りの人の自己重要感を上げていたというわけです。
このように、人を評価するうえでもポイントになるのは、仕事ができるかどうかより自己重要感を上げてくれるかどうかのほうなのです。
もしあなたが誰かから「私の話、聞いてなかったでしょ」と言われたとすれば、それは「この人は、私のことを大切に思っていない」と思わせ、相手の自己重要感を下げたことになります。自分のことしか考えてない身勝手な人だと嫌われても仕方ありません。
相手が取引先でもあろうものなら「おい、話を聞け!」と激怒され、契約を打ち切られてもおかしくありません。
私のメンターでもある作家の本田健さんは、相手が誰であれ、非常に真摯に話を聞く方です。「なるほど」「そうなんですね」と興味深そうに相づちを打ち、決して話の腰を折ることはありません。F君もそうですが、こんなふうに話を聞いてくれるから、人は自分の価値を認めてもらえたようでうれしくなるのです。本田さんの周りにはいつも人が集まり、大勢のファンがいるのもうなずけます。