相手の話を徹底的に聞くことの重要性をこれまで解説してきましたが、いざ実践してみると、相手がなかなか本音を話してくれないという問題に直面し、多忙なビジネスパーソンにとって何とか解決をはかりたいところです。

今回は相手から本音を引き出す方法について解説します。

相手から話を引き出せる人、引き出せない人

メーカーの品質管理に取り組むA部長は、相手から話を引き出すのが大変にうまいことで定評があります。品質管理がミッションなので、開発部、購買部、生産部、顧客支援部などからどちらかというと煙たがられる存在にもかかわらず、多くの人に好かれ、利害関係を超えて相手から話を引き出すことができます。品質管理上の問題を見事に整理し、これによって、多くの問題を未然に防止しつつ、望ましいバランスを取っています。この結果、この会社では過去10年、品質問題が起きたことがほぼないと言えるほどの貢献をしています。

商社の子会社管理部で7年目のB主任は、相手の話を聞かないことで有名です。B主任は、40社を超える子会社の社長や経営企画部長とスムーズに話せないといけないのですが、彼のその態度でどの会社からも嫌われています。当然、子会社から情報が出てくることはないので、B主任が着任した2年前から子会社の経営状況の把握が大変弱くなってしまいました。表面的にはトラブルがないように見えますが、実際はかなり大きな問題が進行していたのです。