相手に信頼されて課題解決にもつながる「アクティブリスニング」

赤羽 雄二

経営コンサルタント

ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクター。東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年マッキンゼーに入社。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。著書にベストセラーの『ゼロ秒思考』など多数。

問題の解決策まで見えてくる

アクティブリスニングとは、相手の話を真剣に、徹底的に聞いて、相手から信頼されることです。そのうえで相手を萎縮させないようにしながら、質問もしていきます。そうすると、問題の本質が把握できて、解決策まで見えてきたり、時には問題解決もできたりする、という一連の流れすべてを指しています。

傾聴や拝聴という言葉だとかしこまって聞く、という語感があり、このニュアンスを表現する適切な日本語がないので、ここではあえて「アクティブリスニング」の語を用います。

アクティブリスニングという言葉は従来、聞くことにとどまらず、解決することまでカバーしているものはあまり見られません。何年か前から私が提唱している考え方です。

一般に「話を聞いてくれてありがとう。すっきりした」「よく話を聞いてもらったおかげで、光が差したよ」ということは会話の中でよく聞くのではないでしょうか。つまり、「聞く＝リスニング」という言葉には、実は解決するところまで自然に含まれているのです。

その点をはっきりお伝えするために、あえて「傾聴」ではなく、「アクティブリスニング」という表現を採っています。