今は日常生活にかかせなくなったスマートフォンの存在。財布を忘れてもなんとか1日過ごせるが、スマホを忘れたら何もできない、という方も多いのではないでしょうか。でも、そのスマホが脳疲労の最大の原因になっているのです。疲れた脳を休めるためには、デジタルデトックスが必要です。誰でも簡単にできて、無理なくできる方法をご紹介します。
スマホが脳過労を引き起こす
「何だか以前よりも怒りっぽくなった」
「些細なことでもイライラしてしまう」
「頭の中のモヤモヤがなかなか消えない」
「仕事でのケアレスミスが多くなった」
「最近、物忘れがひどくなった気がする」
――このような症状のいずれかに、心当たりがないでしょうか。いろいろな原因が考えられますが、最近ではスマートフォンの使い過ぎによる「脳過労」も、こうした症状を引き起こすと指摘されるようになりました。
NHK放送文化研究所が発表した2021年の「メディア利用の生活時間調査」を見ると、「スマートフォン・携帯電話」の利用時間は、全体で1日当たり平均1時間18分でした。男女年齢層別において、男女ともに最も利用時間が長いのが20代で、男性が3時間26分、女性が3時間28分です。勤務時間を8時間とすると、仕事をしている時間の約半分に当たり、かなりのヘビーユーザーと言えそうです。
年齢が上がると利用時間は短くなり、30代で男性が2時間15分、女性が2時間10分になります。そして40代では男性が1時間33分、女性が1時間49分、さらに50代になると男性が1時間1分、女性が1時間23分でした。もっともミドルの方の中には、「自分は利用時間がもっと長い」と感じている人が、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
そうしたスマホの特徴の1つが、とても使いやすいということです。画面を指でタッチするだけで電源が入って、次にスクロールするとメニュー画面に移り、メニュー画面でアイコンをタッチすれば、目的のアプリが開く。便利になればなるほど脳に対する認知負荷は小さく、スマホを使うことへの抵抗感を小さくする方向へ作用しています。だから、ちょっとした隙間時間があると、ついスマホを手にしてしまうようになるのです。
また、楽しいコンテンツが多く、ゲームでは臨場感に溢れた画面が、視覚情報として頭の中に飛び込んできて、「快感」にかかわっている「報酬系」の神経ネットワークを刺激します。すると脳の「側坐核」で神経伝達物質の「ドパミン」が分泌され、ヤル気や幸福感を得られるようになって、さらにゲームにのめり込んでいくようになるのです。