1on1マネジメントによる部下の成長支援には、「1on1ミーティング」を通じて部下に自らの課題や解決に向けたアプローチを考えてもらうことが大切です。なぜなら、人は自分で気づき、自分で決めたことにはモチベーション高く臨むものだからです。しかし、実際に1on1ミーティングを実施するには、上司にも部下にもスキルが必要です。そこで今回は、誰でも1on1ミーティングを実施することができるツール「GPS」と、その使い方を紹介します。

1on1ミーティングは「うまくいかないもの」と考える

前回は、1on1ミーティングでリーダーが行うべきコミュニケーションのプロセスを、コーチングのスキルとともにお伝えしました。しかし、実際にそれを完璧に行うことは、困難だと思います。

リーダーとして理想的なコーチングを行おうと思えば、勉強も経験も必要です。何より、部下がそんなにスムーズに質問に回答できるわけでもないからです。

頭のなかでシミュレーションしてみてください。あなたが部下だとして、ミーティングの場でいきなりリーダーに「タイムマネジメントを効率化するために、いま自分に欠けていることってなんだと思う?」と聞かれるわけです。

すぐには考えがまとまらないし、考えがあっても言語化があまり得意でない人もいるでしょう。スムーズに答えられる人は、普段から「自分の目標や課題」「課題に向けたアプローチ」を考えながら仕事をし、ロジックをしっかり整理できている人に限定されると思います。

ですから、最初のうちは1on1ミーティングがうまくいかなくて当然です。例えば、「業務上の課題解決を通じた成長」を目的とする1on1ミーティングを実施する場合なら、回数を重ねるうちに、部下は日頃から目標意識、課題や、プロセスへの意識を高めていき、リーダーであるあなたのファシリテーション力も向上して、充実したミーティングができるようになっていくのです。