1on1マネジメントにおいて大事なことは、何より部下とのコミュニケーションの機会を多く持つことです。今回は、部下との1対1の面談「1on1ミーティング」を前提に、具体的な進め方と、実施において必要となるスキルと考え方について解説していきます。
1on1マネジメントの実践には「1on1ミーティング」が欠かせない
この連載では、「童話マトリックス」に基づくタイプ別の1on1マネジメントをお伝えしてきました。それぞれ違う個性や考え方を持つ部下に対し、どのような個別のマネジメントをすれば、部下の成長を促しモチベーション高く自発的な行動に導くことができるのか——そのガイドラインとして、童話マトリックスのタイプ別診断を用いたマネジメントの解説をしてきました。
それら一連の1on1マネジメントにおいて重要なことは、部下とのコミュニケーションの機会を多く持つことです。仕事に追われる日常におけるオフィスでの声かけでは、「褒める」「簡単に様子をうかがう」「部分的なアドバイスをする」程度しかできませんから、しっかり時間をとって膝詰めで話し合う場となる「1on1ミーティング」を設けることが、これまで紹介した1on1マネジメントの実現には必要不可欠です。そこで今回は、1on1ミーティングの場での、1on1マネジメントの実践方法について見ていきます。
その前に、「1on1ミーティングとは何か」について、おさらいしておきましょう。もともとシリコンバレーのIT企業で生まれた習慣で、部下の理解と成長促進、目標達成へのサポートを目的としたミーティング手法です。
一般的な日本企業では、上司との個人面談といえば半期または通期の評価面談くらいですが、1on1ミーティングでは日常的な業務を支援したり、悩みごとの解決を行ったりするわけです。そのため、頻度の高い企業では週1回10分、あるいは月1回20~30分くらいの頻度と時間で、上司と部下のコミュニケーション機会を設けています。もちろん、企業によって頻度と時間は異なりますが、多くの企業が1on1ミーティングを取り入れている状況です。
1on1マネジメントにおいて、この1on1ミーティングは相性がいいものです。例えば、あなたが異動したての上司なら、まずは部下のことを理解するヒアリングの時間として使い、関係性や理解が深まるにつれ、仕事の課題解決の場や、目標達成の支援、成長支援、職場の悩みごとの解決といった場にすることができます。
1on1ミーティングの実践方法に話を戻します。わたしの会社の場合であれば、月1回のチームミーティングに加え、個人のキャリア支援や業務スキルに関するテーマで3カ月に1度のスパンで1on1ミーティングを実施しています。それに加え、「業務上の課題解決」については、必要に応じ適宜で実施します。この場では、部下の「業務上の課題解決を通じた成長」に焦点をあて、1on1ミーティングを解説していきましょう。
1on1ミーティングにおいて、リーダーであるわたしに求められるのは以下のスキルです。
・部下との信頼関係を高めるスキル
・部下が自ら答えに気がつくよう、導くスキル
1on1ミーティングでは、部下の成長課題とその解決策について、リーダーが正しい答えを言う必要はありません。リーダーであるあなたが指導やアドバイス(答え)を押しつけるのではなく、部下が自ら課題に気がつき、そのための解決策と行動計画を考えられるように導くことが大切なのです。
なぜなら、人は他人に押しつけられたことに対してモチベーションは高まりませんが、自分で気づき、自分で決めたことにはモチベーション高く取り組むことができるからです。これを実現するために、必要なスキルが「コーチング」です。