チームマネジメントにはさまざまなミッションがありますが、「1on1マネジメント」における「目標管理」も大きなテーマとなります。今回は、「うさアリ」と「うさギリス」の部下に対する、最適な目標設定と、目標達成に向けたフォローアップの方法を考えていきます。

大前提は「目標達成に対して真剣に向き合う」こと

部下に対する目標管理を語る前に、まず、リーダーであるみなさんの目標に対する考え方について確認してみたいと思います。

失礼な物言いになるかもしれませんが、みなさんは「目標の達成について真剣に考えている」でしょうか? というのも、目標管理が形骸化しているケースは非常に多いのです。

多くの場合、目標は定量的です。まず会社としての売上や営業利益などの業績目標があり、その数値を各事業部、各チーム、そして個人目標へと落とし込んでいきます。マネージャーでありリーダーであるみなさんは、部署やチームに与えられた数値目標から個人の数値目標を割り振り、その達成のための行動目標を設定するはずです。しかし、この行動目標がいい加減なケースがあるのです。

典型的な例は、「精神論」です。

前年比売上110%という数値目標に対し、「毎日1件でも多く営業先を回れば達成できる!」「110%は日々の努力で達成できる!」といった具合です。数値目標は、営業なら訪問件数や受注件数、売上でしょうし、マーケティングならWEBサイトへの流入数やCV数、製造なら生産量や歩留まり率などがあるでしょう。それらが、ほとんど気合いと努力を前提として個人に求められてしまうのです。

例えばBtoB営業なら、売上を上げるために12カ月間ひたすら頑張るのが最適かと言えば、おそらく違うでしょう。顧客企業には予算策定のタイミングがあり、そのタイミングを見計らって営業をかけなければ、「買ってくれと言われても、そんな予算は組んでないよ」となるだけです。顧客企業の予算策定の前から訪問し、段取りをつけることが必要です。

つまり、今年度の営業売上を上げるには、前年度からの種まきが必要ということ。営業に限らず、あらゆる業種で成果を高めようと思ったら複数年度にまたがる戦略的なアクションが必要なはずです。それなのに、上からの数値目標を受けてはじめて今年度の行動目標を考えるようでは、戦略なしに個人の気合と努力に頼るだけになってしまうのは当然です。それでは、せっかく部下が頑張っても成果に結びつかず、チームも疲弊するばかりだと思います。

まず、部署の中長期の戦略があり、それに沿って部下が役割を担い、具体的な行動目標が示される。そうした合理性がなければ、「1on1マネジメント」をいくら行っても、部下にとって満足も納得もないことを前提として理解しておくべきでしょう。

そのうえで、個々にタイプの異なる部下たちが行動目標、数値目標を達成するために、どのような「1on1マネジメント」が必要かを考えていきましょう。