大企業をはじめとする会社の経営者には、学生時代にアメリカンフットボールを経験した人が少なからず見受けられます。そのアメフトで、体力やテクニックよりも重要なのが、相手がどういったプレーをしてくるかを予測し、自分たちがどう戦うかの作戦を組み立てる「ゲームプラン」。経営との共通点も少なくありません。アメフトならではの頭脳プレーをマネジメントに応用するヒントをご紹介しましょう。

「アメフトで学んだことって、そのまま経営で通用するよね」

私がアメリカンフットボールに興味をもったのは、高校生のとき。テレビでアメリカンフットボールを観て、「大学生になったらアメフトをやりたい」と思ったのが最初です。

アメフト部がある大学を目指して、京都大学に進学し、入学後は計画どおり、アメフト部に入部。もっとも、骨折したり、ついでに心も少し折れたりして、練習自体にはそれほど真面目に参加しませんでした。

その代わり、試合中にビデオを撮りながらコーチに戦術を教えてもらったり、アシスタントコーチとして新人を指導したりと、プレーヤーよりもっと俯瞰した立場でアメフトに関わっていました。

その意味では熱心な部員でした。このときの経験が、経営に対する考え方に非常に役立っていると思います。

経営者には、じつはアメフトを経験した人が少なくありません。

有名な大企業の経営者には、何人ものアメフト部の出身者がいます。どこの大学でやっていようとも大体考え方は似ていて、集まる機会があると「アメフトで学んだことって、そのまま経営で通用するよね」という話になります。

アメフトは体力やテクニックももちろん大事ですが、数あるスポーツのなかでも、最も頭脳が生かされるスポーツといえます。集団で、かつ戦略的に戦わなければなりませんから、タイプとしては、よくある「とにかく頑張る」という人より、頭脳派が集まりがちなのかもしれません。

ようは、相手がどう動くのか、自分がどう動くべきなのか、ということを常に考えているようなタイプの人たちです。

そのアメフトで重要視されているのが、ゲームプランです。自分たちがどう戦うか、チームごとに作戦があらかじめ用意されています。

試合の前には、さらにそれを練り直します。対戦チームの過去の試合のビデオやデータなどを基に、相手がどういったプレーをしてくるか予想し、いま準備している作戦だけで対応できるのか、もし足りなければどんな作戦を追加すればいいかを考えていきます。