会社としての基本理念がなければ、社員はどこに向かって進めばよいか、迷ってしまいます。そうならないためには、多角的な視点で未来を見据え、会社として何をやるのかを明確にする必要があります。たとえば、西暦でいえば2050年の世界はどのようになっているのか。この年、世界の人口は100億を超えるという予想もあります。ビジネスにおいて先を読み、未来を予測するための「2つの目」についてのお話です。
「ビジネスとともに、仲間とともに、成長していく」
最近はビジネスシーンで「パーパス」という言葉が注目されています。
パーパスとは目的や意図という意味。「会社は何のために存在するのか」という会社のパーパスだけでなく、「社員は何のために働いているのか」という社員のパーパスも重要だといわれています。
パーパスは、会社のDNAともいえます。基本理念がしっかり根付いていない会社では、社員のパーパスなど考えることは難しいでしょう。
サイゼリヤの基本理念は何かというと、「ビジネスとともに、仲間とともに、成長していく」こと。
この理念に基づいてつくられた、サイゼリヤコンパス(羅針盤)といわれるカードを全社員に配っています。裏側には社員一人ひとりがサイゼリヤの一員として果たすべき使命を自分で考えて、書き込めるようになっています(図19-1)。
会社としての理念がなければ、社員はどこに向かって進めばよいか、判断に迷ってしまうことでしょう。そうならないために、経営者は多角的な視点で未来を見据えて、会社として何をやるかを明確にする必要があります。