Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスが、創業前に書いたとされる「ループ図」。欲しい結果から逆算して絵を描いていくことで、好循環を生むためのポイントを見つけ出し、企業にとっての持続的な成長を可能にします。シンプルながら究極の事業開発ツールであり、問題解決ツールであり、思考ツールともいえます。最終回である今回は、このループ図を使って、「思い」を実現するためのヒントをお伝えします。

アマゾンを時価総額1兆ドル企業へと導いた「図」とは

アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスが、創業前に書いたとされるループ図をご存じでしょうか。

ループ図とは、原因と結果のつながりを視覚化して思考する手法のひとつ。原因があって、結果が生まれるのは当たり前です。その結果は原因となり、また次の結果を引き起こします。

そして原因と結果がつながって循環していれば、結果が永遠に出続けることとなる。これがループ図の基本的な考え方です。

ベゾスはこのループ図を飲食店で思いついて、紙ナフキンにぱっと描いたといわれています。そして実際、この図のとおりのビジネスモデルを構築し、アマゾンを時価総額1兆ドルの超巨大企業へと成長させました(図20-1)。

この図では、ループの外に「investment(投資)」があります。私が最も素晴らしいと思うのは、ループが回り切る前、利益が上がる前にひたすら投資をし続けたことです。

結果が出るまでには、ある程度の時間がかかるものです。結果が出る前に思い切った投資はなかなかできないですが、ベゾスは大量の資金を事業に注ぎ込み続けました。

時間がかかっても結果が必ず出るということを、彼はこのループ図で確信していたのでしょう。