企業に存在する能力や競争力を「コンピタンス」と呼びます。なかでも企業活動の中核となるのが、「コアコンピタンス」。他社に勝つためには、自社のコアコンピタンスを見つけ出し、能力を十分に発揮できる戦略をとることが求められます。言葉を換えて言えば、他人の土俵でなく、自分の土俵で相撲を取るということ。コアコンピタンスと呼べる自社ならではの「強み」を見つけ出すためのフレームワークの使い方を、サイゼリヤの実例とともにご紹介しましょう。
企業における「コアコンピタンス」の5つの特徴とは
経営においては、自社の「強み」が武器になる戦い方をしなければなりません。
強みではないもので戦っていても、意味がないのです。それは相手の土俵で相撲を取るようなもの。経営においては、自分の土俵で相撲を取らなくてはなりません。そのためには自社の強みを知ることが重要です。
私が43歳でサイゼリヤに中途入社した当時、サイゼリヤのことは何も知りませんでした。
ですが、知らなかったからこそ、サイゼリヤならではの強みを理解するのは早かったかもしれません。客観的な目で自社を眺めることができたからです。
企業には強みとなる能力、競争力がいくつか存在します。その能力や競争力を「コンピタンス」といいます。なかでも企業活動における中核(コア)となるのが、「コアコンピタンス」です。
具体的には、以下の5つの特徴を有したものが、コアコンピタンスとなります。
1. 模倣可能性が低い
2. 広範囲で多様な市場に応用できる
3. 代替可能性が低い
4. その能力が市場で不足している
5. 長期的な使用に耐えられる
コアコンピタンスを見つけるには、まずはコンピタンスとなる会社の特徴を列挙する必要があります。
このとき注意しなければならないのが、会社の内部の人たちが「当たり前だ」と思っていることが、コアコンピタンスである可能性が高いということ。渦中の人間には当たり前でも、じつは自社ならではの強みだった、ということがよくあるのです。
その意味で、入社したばかりや、転職したばかりの人はチャンスです。企業の文化が身につく前に、できるだけ早く、自社のコンピタンスと思われることを書き出すとよいでしょう。あるいは外部の人にヒアリングするのもよいと思います。
また、長年同じ会社に勤めていても、他社を観察することで、その違いから自社の特徴を導くことができます。他社を観察し、分析し、調査することをストアコンパリゾンといいます。
私は毎年、ストアコンパリゾンのためにロサンゼルスを訪れていました。視察目的で、テーブルレストランやファストフードなどの飲食業はもちろん、百貨店や1ドルショップといった小売業の店舗を回るのです。