誤解を恐れずにいえば、経営というのは「思いつき」と「思い切り」がすべて。ビジネススクールでいくら経営戦略を学んでも、理論では経営はできず、最初にあるのは、おそらくは勘ではないでしょうか。そうはいえ、勘だけで経営ができるのは、ごく一部の天才の話。そこで登場するのが、思考を整理することで、「思いつき」を「思い切り」に変えるための技術です。そのなかでも、基本中の基本でありながら、だからこそ難しいロジックツリーづくりのコツをお伝えします。
納得できる根拠があれば、思い切りよく決断できる
経営者にもっとも求められる資質は何かといえば、それは「勘」ではないかと思います。
ロジックだけで経営することはできないでしょう。むしろ、勘や直感に従って行動するためにロジックやフレームワークを学ぶべきといえます。納得できる根拠があれば、思い切りよく決断することができる。半端なやり方では大抵はうまくいきません。
ということで、今回はフレームワークの基本中の基本である「ロジックツリー」についてお話しします。
売り上げを向上させたいと思ったら、どのような手段が考えられるでしょうか。新しい店舗を出店すること、商品の単価を上げること、広告を打つこと……。ぱっと考えるだけでも、いくつかの手段が思い浮かびますが、大事なのは、そこではありません。
戦略を立て、有効な手を打つためには、まずは売り上げの向上に関わる「要素」を確認し、洗い出す必要があります。その要素の洗い出しに使えるのが、ロジックツリーです。
ロジックツリーとは物事を整理して考える手法のひとつ。課題の解決法を導き出すフレームワークとしてよく使われています。
木の枝が分かれていくように、ある事柄を構成する要素をツリー状に書き出していくことで、問題を取り巻く全体像がわかりますし、因果関係が可視化されるので、なぜその問題が起こるのか、要因を把握するのに役立ちます。
一口にロジックツリーといっても、じつは種類があります。問題の発生元を特定する「Whatツリー」、原因を明らかにする「Whyツリー」、問題を解決する「Howツリー」、経営目標を達成するための指標となる「KPIツリー」の4種類です。
このなかで、問題解決のための「手段」を考えるときに、私がよく使っていたのが「Howツリー」。目的をテーマに、手段となる要素を書き出していく手法です。