「ドメイン」という言葉をご存じでしょうか。経営におけるドメインとは、企業の持続的な成長を可能とする自社特有の事業活動領域のこと。株主総会では、経営者はステークホルダーに向けて、このドメインを説明することが求められます。こう書くと難しく聞こえるかもしれませんが、コツがあります。3つの円が重なった「集合図」は、誰しもご存じでしょう。このシンプルなフレームワークを使って、まずは「自分とは何者か」を分解してみましょう。

「堀埜一成とは何者か」を、集合図=ベン図に落としてみる

3つの円の縁が重なり合った「集合図」は、みなさんも目にしたことのあるフレームワークのひとつでしょう。英国の論理学者ジョン・ベンが考案したことから、「ベン図」とも呼ばれています。

今回は、その「ベン図」と「ドメイン」のお話です。

ベン図は、いくつかの要素の集合に対し、それぞれの集合の関係性を視覚的に整理し、類似点や相違点を強調するために用いられます。数学や統計学、サイエンスの分野でも広く使われていますが、ビジネスにおいては、自社の「ドメイン」を規定したり、ステークホルダー(企業組織における利害関係者)に説明するためのツールとしても活用できます。

ドメインとは、企業の持続的な成長を可能とする自社特有の事業活動領域のこと。株主総会でも、自社の社員に対しても、このドメインの説明は求められます。

では、経営者としての私はこのベン図をどのように使っていたか。その話をする前に、まずは「堀埜一成とは何者か」をベン図に落とし込んだものを、みなさんにお見せしましょう。

こちらのベン図には、「経営者」「技術者」「食いしん坊」の3つの円が描かれています(図9-1)。

3つの円の交点が、特有の事業活動領域、つまりはドメインです。外食チェーンであるサイゼリヤの「経営者」であれば、「食いしん坊」であり、さらには生産のための技術開発のできる「技術者」であることは、大変な強みといえます。

では、堀埜一成はといえば、京都大学大学院農学研究科出身の技術者であり、稀代の食いしん坊です。あとは経営者としての資質があれば、サイゼリヤの社長は、まさに堀埜一成にぴったりの仕事ということになります。