パート1では、小さな生活習慣を変えることで運気を上昇させる方法をお教えします。まずおすすめしたいのは、「早起き」の習慣をつけること。なぜ早く起きるだけで、運気が上がるのでしょうか。そのカラクリをお伝えします。

うまくいく人、いかない人の決定的な差とは?

世の中には、一見、大したことをしていないように見えてなぜかうまくいく人と、そうでない人がいます。長年、運を良くする方法について研究してきた結果、私がたどり着いた答えがあります。それは、両者の違いは努力でもなければ才能でもなく、日々の小さな行動習慣にあるということです。今回、皆さんにファーストステップとしておすすめしたい習慣は、「早起き」です。それだけのことで、運気はガラリと変わります。

「早起き? そんな簡単なことで本当に運が良くなるの?」

そんなふうに疑う声が聞こえてきそうです。しかし、早起きは本当に簡単なのでしょうか。皆さんのなかには、宵っ張りで朝は苦手。時間ギリギリに起きて、始業時間の直前に滑り込み出社が日常、なんて人も案外多いのではないでしょうか。

かく言う私も、運に恵まれない時代はそうでした。自己紹介も兼ねて、ここで私自身が早起きを実践するようになったきっかけをお話しさせてください。

なぜ、私は朝4時に起きるようになったのか

あれは今から20年ほど前のこと。当時、日本信販(現・三菱UFJニコス)に勤めていた私は、営業成績上位だったにもかかわらず、理不尽な左遷に遭いました。原因は追ってこの連載のなかでお話ししたいと思いますが、理不尽といっても、今考えればすべては私自身のせい。当然の処遇でした。

左遷された先は債権回収部、いわゆる借金の取り立て部門です。しかも私が担当したのは、住宅ローンが払えず自宅を競売にかけられてしまったお客様の残債務の回収です。家を失ってただでさえ落ち込むお客様から、さらにお金を取ろうというのですから、精神的にかなりハードな仕事です。目の前で「いったいどうしろというんですか」と泣き崩れられ、「この疫病神!」と罵倒されることもしょっちゅうでした。

そんななか、私はうつ状態になっていきました。毎日、背中を丸め、暗い顔でため息ばかり。夜はなかなか寝付けず、当然朝もぐったりしていてすぐには起きられません。その頃、なんとかこの絶望的な状況を変えたくて、運の勉強を始めたのです。

最初は私自身、運など偶然の産物だと考えていました。しかし自己啓発や心理学、偉人伝、仏教哲学……などありとあらゆるジャンルの書物を必死で読みあさるうちに、成功する人にはある共通する行動パターンがあるということ、そして、どうやらそれが彼らを幸運に導いているらしいことがわかったのです。

その行動パターンの一つが、早起きでした。以来、私は遅くても朝4時には起きるようになりました。

Kさんの失敗から学べる教訓とは

早起きする人は出社も早いのが通例です。日本信販時代や転職後のソフトバンクファイナンス(現・SBIホールディングス)時代を振り返っても、役員はたいてい始業2時間前には出社していたものです。

早朝出社にはいろいろなメリットがあります。車なら渋滞に巻き込まれずに出社できるし、私のように電車通勤の場合は、乗客も少なく、座ってゆっくり読書することもできます。オフィスはまだひっそりとしていて電話がかかってくることもなく、仕事に集中できます。しかも、朝のスッキリした状態で取り組めるので、疲れ切った夜の残業より断然パフォーマンスが上がるのです。

最大のメリットは、時間を前倒しすることで、突発的な出来事にも余裕を持って対処できることではないでしょうか。急なスケジュール変更、夜間のトラブルなど、ビジネスの現場では何が起こるかわかりません。身近な例では、こんなことがありました。

Kさんは、朝イチでまずメールチェックをするのが日課です。しかしその日は出社と同時に上司に呼び出され、パソコンを開く間もなくデスクを離れました。しばらくして席に戻りメールを見ると、そこには取引先からのトラブル発生の知らせ。すぐに電話したのですが、先方の担当者はKさんからの連絡がないことに業を煮やして、すでに処理に出かけた後でした。「しまった。30分早く出社していれば、先にメールを読めたのに……」と後悔しても、時すでに遅しです。結果として、Kさんは取引先からの信用をなくしてしまいました。

規定の就業時間には出社していたのだから、何が悪いのか? と思う人もいるでしょう。確かに、始業時間ギリギリの出社はルール違反ではありません。ただ、上司や取引先があなたにどんな印象を持つかにはルールはないのです。レスポンスが遅れたというたった一度の不手際でも、「大事なときに連絡がつかない、信頼できないやつ」「あいつはダメだ。使えない」などというイメージを持たれることもあるでしょう。そうなれば、最悪の場合、出世の道が閉ざされてしまうケ-スもあるでしょう。つまり、朝の行動が遅いというのは、これほど損することなのです。

ヒトとは本来、昼行性の生き物である

私たち人間もヒト科に属する生物である以上、根本的には自然界の法則に支配されています。エジソンが白熱電球を発明したのはわずか144年前です。600万年という長い人類の歴史から見れば、私たちが電気のある暮らしを謳歌しているのはまだほんの数秒程度の出来事です。それまでは、日の出とともに起き、日が沈んで暗くなったら休むという生活が当たり前でした。つまり、ヒトは「昼行性」の動物だったのです。

その記憶が、24時間稼働し続ける現代社会を生きる私たちのDNAのなかにも、組み込まれているのではないでしょうか。だからこそ私たちは自然に逆らわず、「昼行性」というヒト本来の生活リズムに合わせて生きることで、私たち自身のなかにある力を最も発揮できるというわけです。

私の日課は、早朝に起きてから1時間くらいウォーキングすることです。ウォーキングをすることで、しっかりと目が覚め、空腹を感じ、朝食がとりやすくなります。朝のウォーキングは、一日の始まりから、健康的な生活リズムを整えてくれるのです。

私は実業の世界に身を置いて約40年になりますが、私の知る成功した経営者や実力のあるビジネスパーソンは皆、朝早く起きて仕事を始めています。意識的であれ無意識的であれ、皆、早起きによって自分の能力が効率良く発揮できるという事実を知っているということです。

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