会社は変革を推進していても、職場には頑なに過去のやり方に固執する「前例主義者」もいれば、ささいな失敗も恐れて挑戦しない小心者もいます。そういう人がいる職場では、新風を巻き起こそうと斬新な提案をしても、なかなか相手にしてもらえず歯がゆい思いをしてしまいます。そこで今回は、保守的な人たちのいる職場で新しいアイデアや提案を通す、とっておきの対処法をお教えします。

まず変えることのメリットとデメリットを提示する

すべての企業に変革が求められています。当然ながらビジネスパーソンには、これまでにない発想での提案や前例のない取り組みが推奨されていますが、思い切って新しい提案をしてみても上司や職場の仲間から冷たくあしらわれてしまう、といったことがよくあります。

経営の上層部が言っていることと、現場で行われていることがまったく違うことに戸惑うことも多いのではないでしょうか。

そもそも人は変化を嫌うもので、自分に経験がないものや予測できないものに対しては、不安が高まるため目を背けようとします。とくに保身的な人にはそうした傾向が顕著にみられます。こういう人たちを動かすには、まずその人が安心できる、もしくは納得する材料を提示することです。

具体的には、変えることのメリットとデメリットがわかる材料を提示して、相手と一緒に検討するとよいでしょう。これなら相手も納得でき、うまくいけばそこに関与した人たち全員の手柄にもなるので、賛同を得やすいでしょう。

では具体的な事例で考えてみましょう。たとえばあなたの職場に、新しいことを提案すると「俺はいいと思うけど、上がね……」と渋る上司がいたとします。もちろん「上がね」というのは言い訳で、自分が責任を取りたくないだけです。

そんなときは、先ほど言った通り、メリットとデメリットの情報を提示して、一緒に上司と検討することです。ただし、前もってまず社内外を問わず前例を探しておきましょう。その中に成功例があれば、それを説得材料として上司と詰めていくのがいいと思います。

提案した自分が手柄を独占するのではなく、上司も一緒に検討する形にすれば上司もやる気になるでしょうし、前例があれば上司がさらに上の人に説明する際に、客観的な情報を提示することもできます。

虚栄心の強い上司であれば、「こんな斬新な企画を採用して成功したら部署の責任者としても鼻が高いな」と思ってもらえるように、前例としての成功事例を示して、成功確率の高さを強調しましょう。仕事は理屈だけでは進みません。最後は情のところで決まるのが仕事ですから、そのあたりは上手に持っていきたいところです。