「斜陽産業だから成長は難しい」と言われた会社や、「古い会社だから体質改善は困難」と匙を投げられた会社が、社長交代によって成長企業に変わることは以前からあることです。大企業ですらそうなのですから、中小企業では「会社の成否は社長次第」といっても過言ではないでしょう。黒字経営の社長と赤字経営の社長とでは、意識や考え方にどのような差があるのかを紐解いていきます。

黒字企業は全企業の3分の1しかない

日本にどれくらい黒字の企業があるか、考えたことはおありでしょうか? 具体的な数字を国税庁のホームページにある調査データで見ていきましょう。

以下は2023年11月に発表された最新のデータです。令和4年度、つまり2022年度に法人税の確定申告をした企業約312万件に対し、「黒字申告割合」は36.2%。およそ3分の1の企業しか黒字経営ではありません。

ただし、ひとり会社などでは、会社業績より社長の収入を優先して役員報酬を多く取るといった、あえて赤字決算にしているケースも考えられます。そのため、実態としての黒字企業はもっと多い可能性はありますが、少なくとも半分以上は赤字企業と考えられます。

では、黒字企業と赤字企業では何が違うのでしょうか? もちろん、業種の好調・不調、あるいは商圏環境の問題など様々な要素があると思います。しかし、わたし自身が税理士として会ってきた多くの社長を振り返ると、黒字経営の社長、赤字経営の社長には、それぞれ個人の特徴に多くの共通点があると感じています。

この連載の最終回を迎えるにあたり、社長自身の「考え方」から見る黒字経営のポイントを皆さんにお伝えしたいと思います。