ルールなど存在しないのに、法人の決算月の多くが3月に設定されています。ただ興味深いことに、「3月にしている理由は何か」と問えば、「多くの会社がそうだからなんとなく」という回答が多くを占めるのです。しかし、節税対策の行いやすさや事業におけるお金の動きから考えると、あなたの会社に最適な決算月は違うかもしれません。最適な決算月の考え方や決算期を変更する方法について、一緒に学んでいきましょう。

決算期が3月に集中するのは総会屋対策が理由

個人事業主も法人も、等しく「ゴーイング・コンサーン」という、事業所は永続的に続いていくことを前提とする考え方で成り立っています。しかし、どこかを節目として決算を行わないと、会社業績も評価できませんし、課税もままなりません。そこで会社は、決算を行う「決算日」を定め、決算日の翌日を起点にして1年間の業績を取りまとめることが求められます。

個人事業主の場合は1月1日〜12月31日で固定されており、暦年で締めが決められるため、自分で決算日を決めることはできません。一方、会社の場合は任意で決算日の選択が可能です。なお、決算日は月末でなくともよく、また半年決算で1年間に2回の決算日を設定しても問題ありません。

日本では、なぜか3月31日を決算日とする「3月決算」が多いのですが、かつては総会屋対策だったそうです。総会屋とは、少数の株式を所有して大企業の株主総会に出向いて意見をし、場を荒らす集団のこと。いわゆる反社会勢力であり、株主総会を荒らされるか、お金を渡すかを迫り、ゆすりをかけてくるのです。

そういった事態を防ぐために、上場企業は各社がほぼ同時に3月決算を選択しました。つまり、一斉に総会を開くことによって、総会屋の手が回りにくいようにしたのです。しかし、いまや総会屋の存在もほぼありませんから、上場企業が3月決算にするメリットはなく、非上場企業に至っては、もともと上場企業に合わせる理由もありません。ちなみに、アメリカの会社は暦年決算で、12月を決算期とすることが多いようです。