儲かる会社を見抜く決算書の読み方実践編。第10話は、決算書を活用して、虎の子のお金を投資して儲けられそうな会社を探す方法を解説します。ポイントは、再び損益計算書。大手企業の実際の決算も参照しながら、情報の読み方を見ていきましょう。
損益計算書を活かして儲かる会社を見つけ出す
第9話では、経営者は儲かる会社にしていくために、どのような貸借対照表(バランスシート)の改善を行なっていったらよいのか、PBRの是正の話を絡めながら解説しました。これは、中長期的な視点での経営改革にともなう、バランスシートの活用法の一つということもできます。
今回は、虎の子のお金を投資して儲けられそうな会社を探すときの、決算書の活用法を解説します。このとき、一番のポイントは何かというと、バランスシートではなくて損益計算書に目を向けることになります。
「1株当たり予想当期純利益(EPS)÷期待利回り」で理論株価が計算されることを第9話でお話しましたが、分子の当期純利益は、損益計算書の一番下に示されます。1株当たりの当期純利益がアップし、期待利回りが変わらないのなら、理論株価は上昇します。その当期純利益は、株主にとって大切な配当の原資になり、株主の持ち分である純資産の増加にもつながっていきます。そうした当期利益をどれだけ効率よく生み出していけるのかを、損益計算書の上に示された元となる利益へ遡り、具体的な検証を行なっていくのです。