儲かる会社を見抜く決算書の読み方実践編。今回は、損益計算書の読み解き方を解説します。何と言っても、実例を見ていくのが最も近道。超優良企業・ニトリHDの損益計算書が公表されているので、これを使って、同社の“勢い”の秘密を読み取っていきましょう。
会社の成長を読み解く損益計算書
その会社が儲かる会社なのか、ダメな会社なのかは、「損益計算書」を見ればわかります。損益計算書は、その会社の“勢い”ともいうべき成長を読み解くものとセクション6で触れましたが、儲けをもたらすものが勢い、つまり成長性にほかならないからです。では、具体的に損益計算書をどのようにチェックしていったらいいのかを紹介していきます。
貸借対照表(バランスシート)と違い、損益計算書は縦一列で構成されています。上から順に見ていきましょう。まず一番上にある「売上高」は、扱っている製品やサービスの市場シェアを背景にした“販売力”を示しています。
販売力は“儲ける力”の源です。当然、売上高は大きいほどいい。ただし、売上高と市場全体の伸び率との比較を怠らないようにしましょう。前者よりも後者の伸び率のほうが高くなると、市場シェアが落ちて、販売力に陰りが見え始めていることを示唆するからです。
次に、「売上総利益」をチェックします。売上高から売上原価を引いたもので、「粗利益」という別名もあります。扱っている製品やサービスの“競争力”を表しています。競争力が高ければ、無用な値引きをする必要がなく、値引き合戦に巻き込まれる恐れが小さくなります。チェックの方法ですが、「粗利益÷売上高×100(%)」の計算式で、過去5年分の「粗利益率」を求め、どのような傾向なのかを把握します。