ふとした瞬間に突然起きるフラッシュバック。程度の違いこそあれ、多くの人がネガティブな記憶を持っていて、実際にフラッシュバックを体験したことがあると思います。しかし、ネガティブな記憶を完全に消し去ってしまうことは簡単ではありません。フラッシュバックへの対処法は、「考える/考えない問題」と呼ばれる心理学のテーマを知ることからはじまります。

記憶は意外にあいまいで変容しやすい

忘れたいのに忘れられないような、とてもネガティブな記憶を頭のなかから消し去ることは簡単ではないと思います。それこそ、PCに書き込まれているデータを削除するようにはいきません。

ただ、そうはいうものの、記憶は意外にあいまいなものでもあります。変容しやすいという側面もあるのです。

同窓会などの場で友人たちと思い出話に花を咲かせていると、当時の同じ状況について話しているのに、「それって違うよ」「こうだっただろう」と、それぞれの記憶が微妙に食い違っているという経験をしたことがある人も多いと思います。同じ場にいて同じようにインプットされたはずの記憶なのに、それぞれが自分の都合のいいように内容を書き換えているというわけです。

ただし、このケースと同様に、ネガティブな出来事の記憶を自分の都合のいいように書き換えて、逆にポジティブな出来事が起こったようにすることは難しいと思います。それこそ「都合がよすぎる」というものですし、そんな能力が人間に備わっているのであれば、誰もトラウマなどに苦しむこともありません。

でも、記憶が意外にあいまいで変容しやすいというのは紛れもない事実です。そこで、記憶自体を変えるというよりも、その記憶から受けるインプレッションを変えていくことを考えてみましょう。

その記憶から受けるネガティブなインプレッションをポジティブなものに昇華するのは難しいとしても、ニュートラルな状態にまで持っていることができれば、「忘れたいのに忘れられない」と悩むこともなくなるはずです。